INTERVIEW
MUSIC 06 Jul 2020

ジャンルの境界なく音楽を制作するイタリア人シンガーソングライターEd Golfo(エド・ゴルフォ)インタービュー

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イタリア人シンガーソングライターのEd Golfoとは?

Ed Golfo(エド・ゴルフォ)は、北イタリアのトレント出身で、現在ボルツァーノを拠点とする、エレクトロニックビートとポップメロディーを融合させた独自のサウンドを生み出す冒険的なシンガーソングライター。10代から様々なバンドでライブ活動や制作活動、レコーディング活動を経験し、様々なジャンルの音楽に触れ合ってきた。Ed Golfoが音楽を制作をする際のこだわりは、音楽を通していろんな人々と繋がりを作っていくこと。彼のシンガーソングライターとしてのモットーは、「Love music, with no boundaries」(境界なく音楽を愛すること)。

そんなEd Golfoに自身の音楽のこと、日本との関係についてなどをお伺いしました。

SHOP ITALIA 音楽をやろうと思ったきっかけを教えてください。
Ed Golfoイタリアの小学校では、放課後に選択式で音楽の授業を受講できます。その授業で最初にサックスを担当し、初めて楽器を手にしました。その後にギターに切り替えて、少しギターを弾ける父と母にも教えてもらいました。5年生の頃に音楽との向き合い方を変えてくれた先生に巡り合い、今まで挑戦してこなかったコードや曲などに挑戦するようになるまでの自信がつきました。その先生は、いろんな学校で音楽を教えていたので、バンドを組もうといろんな学校から子供を集めました。バンドとして1人でなくみんなで練習をさせてもらったのがすごく楽しかった思い出があります。自信をくれたその先生がきっかけですね。その先生と出会わなかったら音楽をやっていなかったと思います。

SHOP ITALIA 以前、バンド活動をしていたとお聞きしたのですが、どんな活動をしていましたか?
Ed Golfo私がグループとして活動していたバンドの名前はAlchimia(アルキミーア)です。ギターとリードボーカルを務めていました。EPを2枚、1枚目は15歳のときで2枚目は17歳のときにリリースしました。メインとして活動をしていたのはこのバンドのみで、その他はたまにギタリストとして参加したり、ボーカルとして参加したりしていました。それをしたおかげで音楽家として様々なジャンルに触れることができ、視野を広げてくれました。

Alchimia(アルキミーア)の曲はこちらまで

SHOP ITALIA 曲を制作するにあたって、インスピレーションにしているアーティストはいますか?
Ed Golfo そうですね、刺激されますけど無意識です。“この曲をインスピレーションにして曲を作ろう!” とまでは決めませんが、気づいたら好きな曲に似たようなコードの進行やメロディが浮かびます。やっぱり、自分の好きな音楽をたくさん聴いているとそれが頭の中のどっかで記憶をしているのだと思います。
ここ数年のお気に入りはDaft Punk(ダフト・パンク)が2013年にリリースしたアルバム「Random Access Memories」(ランダム・アクセス・メモリーズ)です。リリースから約7年経った今でもよく聴いています。このアルバムに入っている曲のバランスやリズム、雰囲気などが好きなのだと思います。

SHOP ITALIA 音楽を制作する際に決まったプロセスはありますか?
Ed Golfo 曲のアイデアや始まりは日常生活の中で生まれます。ギターを弾きながら時間を潰している時や運転しながら鼻歌を歌ったりしている時にいいメロディやアイデア、ハーモニーが浮かんだらそれを携帯で録音します。少し時間が経った後、例えば1週間後とか、そのアイデアをもう一度ふり返ってそこから曲制作を始めます。曲の構成を考えるのが得意ではないので、よく歌のレコーディングで使用するスタジオのレコーディングエンジニアがいつも手伝ってくれてとても感謝しています。きっかけは本能に任せていて、その後レコーディングエンジニアの方に構成を手伝ってもらって、僕が打ち込みなどをします。

SHOP ITALIA そうなんですね!人によっては歌詞を書いてから曲、曲を書いてから歌詞という人もいますよね。
Ed Golfo僕の場合はその時によって違いますが、だいたいはメロディからですね。たまに朝起きて、頭の中にメロディが流れています。その時はすぐに携帯に録音します。そうしないとすぐ忘れちゃうので。

SHOP ITALIA 歌詞でもそうですよね!思い浮かんだその瞬間に書いておかないと忘れますよね。
Ed Golfo 歌詞を書くときはメモに書き溜めておいて、後から構成を考えながら書いていきます。

SHOP ITALIA シンガーソングライターとして活動している一方、自閉症や学習障害を持つ子供たちのサポートもしているとお聞きしたのですが、シンガーソングライターの考え方に影響はありますか?
Ed Golfo特別な支援が必要な子供たちと関わることは、人間としての視野を広げてくれます。この仕事をするということは、相手の立場や考え方を読み取ることに慣れなきゃいけないです。最初がいつも大変です。探偵のようにどんな出来事や動き、言葉でも全部把握し、理解する必要があるからです。この仕事をしていて大変だけでなく、驚きも多いです。このように考える人もいるのだと、全て受け入れる必要もあります。常にオープンでいなければいけません。

SHOP ITALIA 作詞作曲を始めたい方へのアドバイスはありますか?
Ed Golfo 一番のアドバイスは自分を表現することです。試行錯誤しながら、色々試して欲しいです。自分が生み出した曲に自信もつこと、そうすれば必ず誰かが自分と同じように好きになってくれます。自由に自分を表現して、曲の制作を楽しむこと。曲を作ることの楽しさはそこにあります。音楽には限りはない。目的地もない。ダンスのように目的地はないけど、好きだから踊る。

哲学者のAlan Watts(アラン・ワッツ)がWhen you play music, you’re not trying to reach the final bar, for if that were the point of music, the best musician would be the one who played the fastest, gets there first. There would thus be pianists who would specialize in playing only final chords. (音楽を弾く時は、最後のコードを目指して弾いているわけではない。それが音楽の目的なら、一番優秀なミュージシャンは一番早く弾ける人になります。最後のコードだけを弾くことに特化したピアニストも存在します。)と例えたように、音楽は目的がありません。楽しんで表現をして、音楽を言語として使うことが最も重要だと思います。

SHOP ITALIA 自分の音楽を通じてどのようなメッセージを伝えたいのですか?
Ed Golfo 曲にもよりますが、私の曲を聴いて、ポジティブな気分になってくれるといいなと思います。ソロとして最近SpotifyでリリースしたMISTAKESでは人生の中で失敗や挫折を経験した時でも、自分の歩むべき道を必ず見つけることができるというポジティブなメッセージがあります。Spotifyで同じく配信中のWAITは恋についての曲で、運命の人なら生涯をかけても待つことができるというメッセージを秘めています。
歌詞を通してだけでなくメロディーやハーモニー、グルーヴなども通じてメッセージを伝えていきたいです。例えば、歌詞の言語がわからなくても、曲のメッセージはその雰囲気やメロディー、ハーモニー、グルーヴで伝わることがあります。

SHOP ITALIA Spotifyにて配信中のオリジナル曲MISTAKESが生まれたエピソードを教えてください。
Ed Golfo この曲が生まれたきっかけは、仕事で自宅から遠い小学校に通う必要があるため、自動車で通勤をしていましたが、その小学校での勤務が終了する頃に車での通勤がつまらなく感じて歌い始めたのです。そうしているうちにメロディーが続々と思い浮かんで録音しました。帰宅後に楽譜に書き起こして、曲の“予告編”(未完成であるため)を作って、友人でプロデューサーのGiovanni Formilan(ジョヴァンニ・フォルミラン)に「新しいアイデアだ!どう思う?」と送ったのです。彼からは編曲されたものを送り返してくれて、それをとても気に入りました。数日後に彼と直接会ってそれで色々試してみたのです。私がメロディーとコード進行を仕上げて、彼が編曲をしてくれました。そこで私から彼に「この曲が完成に近づけば近づくほどとてもいい曲に出来上がっているからスタジオに行ってちゃんとレコーディングしてみないか?」と提案をしました。

スタジオではジャヴァンニだけでなく、プロデューサーのGiacomo Pallaver (ジャコモ・パッラーヴェル)、プロデューサー兼サウンドエンジニアのFabio de Pretis (ファビオ・デ・プレティス)とベーシストのFrancesco Dallago (フランチェスコ・ダッラーゴ)にも立ち会ってもらって、アイデアを出し合いながら曲を完成させました。
この曲を作っていて一番楽しかったのは、Aメロ、サビ、Bメロと順番を決めて作っていたのではなく、オープンになんでも試して、良い曲に、さらに良い曲にと出来上がってきたことです。
SHOP ITALIA メロディーを思い浮かんで、それがどんどん良いものに出来上がっていくってアーティストとしてのやりがいですよね。

“MISTAKES” single illustration by Anna Formilan (アンナ・フォルミラン)

SHOP ITALIA同じくSpotifyにて配信中のオリジナル曲WAITについても教えてください。
Ed Golfoこの曲に関しては、失恋した時の感情を曲を通して表現したかったから書きました。
音楽は辛いときを乗り越えられるように助けてくれるので。

SPOTIFYアーティストページはこちら

SHOP ITALIA 5年後、ミュージシャンとしての自分はどのようになっていると思いますか?
Ed Golfo 自分の思っていること、考えていることをもっとうまく音楽という形で表現できるようになっていたいです。ミュージシャンとしていろんな感情にぴったりのサウンドをもっとうまく見つけられるようになりたいです。それと、ライブをしていろんな人とより身近に交流して、私の音楽を楽しんでもらっているところをこの目で見たいですね。

SHOP ITALIA 一番好きなイタリア人歌手はいますか?
Ed Golfo 私が一番好きなイタリアンミュージシャンは、Bruno Martino(ブルーノ・マルティーノ)Mia Martini(ミア・マルティーニ)、バンドでは P.F.Mとして知られているPremiata Forneria Marconi(プレミアータ・フォルネリア・マルコーニ)です。

SHOP ITALIA 近年のイタリアの音楽業界について教えてください。
Ed Golfo いいバンドが溢れていると思いますが、アマチュアだと演奏できる場所が限られています。アマチュアにとって活動が厳しい中でもイタリア人だと思えないようなサウンドを生み出す人もここ最近ではたくさんでています。だからポテンシャルは感じますし、イタリアの未来の音楽界には自信があります。若手ですごく刺激を受けるのはラッパーの tha Supreme(ザ・シュプリーム) です。彼は1997年生まれでとても若いのですが、音楽を通じて自分を表現して、自分が演奏できる場所を獲得しました。それと最近見つけたNu Guinea(ニュー・ギネア)というナポリ出身の2人組は、ベルリンに移住して何をするかもわからず、どんな音楽を作ろうかもわからずという状況だったけど、人々からの評価はすごく高く、あっという間にファンを増やしました。音楽のいいところはそこでもあると思います、ヒエラルキーがなく、人が好きなものはそれぞれ。

SHOP ITALIA新しい曲やアーティストの情報はどのように入手しますか?
Ed Golfo 友人からのおすすめやSpotifyのプレイリスト、レビューブログ、SNS、ラジオなどですね。SpotifyとSNSではアルゴリズムがあるので普段聴いている曲と似たような曲をおすすめしてくれるケースもあります。

SHOP ITALIA 日本を好きになったきっかけを教えてください。
Ed Golfo イタリアのテレビではよくアニメが放送されていたので、私は小さい頃からアニメを観て育ちました。私が最初に観たのはドラゴン・ボールです。昼間、学校から帰宅する時間帯に放送していたので、私と同世代の人たちは観ていた人が多いのではないかと思います。

スポーツでは色々試してみたのですが、柔道が一番好きで習い事として通っていました。
そこで日本語を少しだけ、先生が使う数字の名前とか「右、左」と指示する時に使う言葉を覚えました。
私は柔道を通して、敬意と規律について学べたからとても貴重な経験になりました。

その後は友人のレティツィアにいろんな日本の興味深いことを教えてもらいました。
例えば、村上春樹や夏目漱石が書いた小説など。
一番のお気にいりの小説は、吉川英治宮本武蔵という小説です。
武術がずっと好きだったので、考え方を変えてくれる本でした。

それと小さい時に日本のビデオゲームをよくしていました。
小さい頃から日本の文化に触れる機会が多く、とても興味深かったです。

2006年に初めて日本に訪れたとき、名古屋で父と滞在していたのですが、ちょうど2006年ワールドカップでイタリアが優勝したときです。歩いているところを男性の方がわざわざ「おめでとう!」と私たちがイタリア人であることを認識して祝福をしてくれた時はすごく感動しました。
イタリアではこのような出来事が想像できないですね。敬意を感じました。
14年が経った今でも記憶に残っています。
私にとって日本という場所はすごく大切です。

SHOP ITALIA 将来もう一度訪れたいと思いますか?
Ed Golfo もちろんです。まだ行ってない場所が多いので、観光をメインでぜひもう一度行きたいですね。以前訪れた時は東京、京都と広島に行きました。新幹線もすごく新鮮で感動したのを覚えています。
いろんな国を旅行しましたが、日本は一番印象に残っています。空港に到着したときは何もかもが違い、「ここは地球!?」とさえ思いました。

SHOP ITALIA 日本の歌手や曲で知っているものがありますか?
Ed Golfo あります。ファイナルファンタジーのメインテーマを作曲した作曲家の植松伸夫からは刺激を受けました。彼は天才でなんでもできると思います。とても羨ましいです。
他にはミュージシャンの坂本龍一も好きです。
坂本龍一は世界的に有名ですが、植松伸夫は珍しいですかね。私はビデオゲームが好きなので、それを通じて好きになりました。

SHOP ITALIA 日本に対する愛がすごく伝わります。
今後ともSHOP ITALIAで音楽を通して日本の方々と交流が深めて行けたらと思います。

SHOP ITALIAでは、Ed Golfoさんがおすすめするイタリアンアーティストの曲が詰まったSpotifyプレイリストを配信して行きます。第一弾は、夏を楽しむプレイリスト。



Stracciatella | 夏ムードON 【Ed Golfo`s selection】

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「SHOP ITALIA」編集部
「SHOP ITALIA」編集部

「SHOP ITALIA」編集部です。オフィスは港区北青山です。イタリアに関するさまざまなイベント、新製品などのニュースを募集中です。どうぞお気軽にご連絡ください。☛https://shop-italia.jp/contact/

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