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LIFESTYLE 12 Dec 2019

林由紀子の土着的イタリア田舎暮らし日記 第二話「大変だけど、とっても楽しい冬支度」

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アペニン山脈の長い冬を過ごすための準備

皆さん、こんにちは!
林由紀子の土着的イタリア田舎暮らし第二話は、冬に向けての田舎暮らしならではの準備についてお話しようと思います。
アペニン山脈麓の長い長い冬。我が家も裏に山があり、自然とは密着して生活しています。陽も短く、霧や雨で外で作業できる時間が減ってしまう冬、やっぱり暖かい季節に比べると活動的でなくなってしまうんですよね。

自然の恵みから造られたクリスマスのデコレーション

日々、春の訪れを待ち、何もない田舎の長い冬に飽き飽きしてしまう……そんな冬の暮らしに寄り添ってくれるのが、メラメラと燃える薪ストーブや、自然の恵みいっぱいのクリスマスの飾りたち。
出来れば銀世界を思う存分堪能したいとも思ってしまう北海道出身の私ですが、あまり贅沢は言わずにご縁のあった土地での楽しみ方を編み出すのが田舎暮らし上級者。まだまだ上級者とは言えない私ですが、自分なりに工夫しながらこんな風に冬支度をしていますよ、というお話をしてみようと思います。

暖炉用の薪を頼むのにもコツがいります

内陸のアペニン山脈の麓に暮らす人々は、冬の暖房を薪ストーブに頼っている家庭がまだまだ多いのですが、我が家もそんな家庭のひとつです。夏の終わりに注文しておいた薪は、各家庭のストーブの大きさに合わせて割られてから運ばれてきます。

暖炉用の薪が大量に届きます

毎年届く4トンの薪
雨の多い季節を避けて届くようオーダーするのがポイントです。寒くなり、湿気が多くなってからでは薪に火がつきづらくなる上に、運ばれた翌日雨に見舞われ急いでシートを被せる……なんてことになりがちです。
湿った薪は着火が悪いのはもちろん、排気管にススが付きやすくなり、煙突掃除もひと苦労。かと言って1年前のカラカラでスカスカの薪は、あっと言う間に灰になってしまい火持ちが良くありません。その年に切られた木を夏にしっかり乾かしたものがどうやら木こりさんの言うベストな薪のよう。
そして大仕事なのは届いた薪を積む作業。我が家は1度に4トンほど注文しますが、家族3人でコツコツ積んでも数日かかります。
ただどんどん積んでいくのではなく、一応薪積みにもメソッドが(笑)。

薪を積み上げるのにもコツが必要です

一段目は安定した積み方をするために気をつけて並べる
一番下は安定感があり、2列目を積みやすい半月形の薪を選んで並べ、小枝も混ぜながらきっちりはまって行くようにします。さらに積んだ正面が綺麗に平らになるよう気を付けながら積みます。スペースの限られた我が家は薪も2層積み。1層目と2層目の間には細い薪など焚きつけに使う枝を詰めて安定させます。
この作業は、子供達に手伝ってもらうにはうってつけで、近所の子供も参加して、流れ作業で一緒に楽しく作業するうちに不思議な連帯感が生まれます。もちろん手作りおやつでみんなへのご褒美も欠かせません。

近所の人たちにも手伝ってもらい薪を並べます

力仕事、みんなでやれば怖くない!
爽やかな汗を流したあとに眺める積み上げた薪は、まるでコンセプチュアルなインスタレーションのように美しい!!と思うのは私だけでしょうか?
いや、本当に壮観なんですよ、これが。

きれいに積み上げられた薪

綺麗に積めました!

冬のうちから春野菜の種をまく理由とは?

もうひとつ大事な冬な仕事は、春に収穫するための野菜の種まきです。
キャベツ類など、冬野菜とされるものは初秋に植えられますが、ここ中部イタリアでは、春に収穫されるそら豆、グリーンピースなどの豆類、穀物類は冬に種がまかれます。

冬の寒さを乗り越えさせることで春にさらに強く元気に育つ、と農家のおじさんが教えてくれてから、我が家も冬まきになり、春の味覚を冬の寒さの中で数ヶ月楽しみに待つ習慣ができました。もちろん春にまいても同じように発芽はするのですが、発芽後の植物の耐性が全然違うそうです。

そら豆やグリーンピースの種

春の訪れを知らせる豆類の種
今年もいそいそと種を買いにゆき、春に出会える可愛らしい新芽を想像しながら畑に種を植えました!

クリスマスデコレーションの準備

都会でも田舎でも冬支度で一番の楽しみは、クリスマスに向けてのデコレーションでしょう。でも、田舎のそれはちょっと違います。なぜなら材料を家の近くで見つけらるのですから。

昨年作ったクリスマスのリース

去年作った野の恵みのリース。今年はどんなものが出来るでしょう?
デコレーションは、おもに玄関前に飾るリースや、室内用のあしらえなど。
夏から初冬にかけて見つけた松ぼっくり、実や花など、散歩や山歩きのときに拾ったり採ったりしたものをコツコツためておき、ドライもフレッシュも一緒に合わせて束ねていきます。
普段から、散歩や野草摘みのときにここにローズヒップがあるから秋に採れる、とかここの松ぼっくりは採りやすそう、とか目ぼしをつけておき、機会があれば採ったり拾ったりしているうちに、どんどんといろいろなものが集まっていき、いざ作ろうとする時に材料に困ることはありません。

山歩きで見つけてきたリース用の草花

その年その年で、出会った植物を束ねる楽しさ
これらの植物たちは食べ物ではないのですが、多くの材料はハーブとして使われていたり、薬草であったりするものもあります。自然が生み出した造形、デザインに感動したり、感謝したりしながら気ままに束ねていく作業は、本当に楽しく、ありがたいものです。

暖炉の前での編み物は最高のリラックスタイム

これまでに編んできたニット帽やマフラー

イタリアの綺麗な色の毛糸を楽しめる編み物
冬のお楽しみの王道は、やっぱり編み物。
なぜか小さな頃から思い描く幸せの図は、暖炉の前で編みものをする可愛いお婆ちゃんだった私ですが、皆さんはどうでしょうか?
秋風が吹き始めると恋しくなるのが毛糸の手触り。イタリアはファッションの国だからでしょうか。昔から思うのですが、とにかく毛糸の色や風合いが可愛く、沢山の種類があるんです! 残念ながら難しいものは出来ませんが、家族の帽子やマフラーを編む時間は、自分にとって最高のリラックスタイム。
街に出れば、それはそれは沢山の完成品がよりどりみどりですが、やっぱり愛情も編めこめる手編みのものは、あたたかいな、と強く感じます。
今年はちょっと大きくなった息子に、新しい帽子を編んであげようと思っています。

ローズヒップの赤がクリスマスの気分を盛り上げます

ローズヒップは冬の訪れを感じる綺麗な赤
どれも‟冬がやってくるなあ”と感じさせてくれるものばかり。一年の流れの中で、またこの季節が巡って来たんだ、と思わせてくれるものって、それだけで自然の恩恵を受けているんだと実感できます。それは単純に幸せだなあ、と思えることばかり。生活とはそんなことの繰り返しかも知れませんね。

次回は冬支度食べ物編をお送りしようと思います。では、また。

林由紀子の土着的イタリア田舎暮らし日記 第一話「私がイタリアの田舎で暮らしはじめた理由」はこちら

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WRITER PROFILE
林由紀子
林由紀子

マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。http://www.collinediraffaello.it/

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