INTERVIEW
FOOD 26 Mar 2019

43か国とビジネスした彼がイタリアを選んだ理由。秋葉良和さんインタビュー

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秋葉良和 Yoshikazu Akiba

「ビジネスをする中で、イタリア人と日本人だからこそ共感できるセンス(感覚)があると気づきました」。こう語るのはイタリアと東京の2都市を拠点とする秋葉良和さん。1994年に三井物産に入社し、14年にわたり食料部門に所属。2007年の独立後は「株式会社A-commerce」や「株式会社ACトレーディング」の代表取締役を務めるほか、早稲田大学の招聘研究員として教壇に立つなど幅広いビジネスを展開しています。社会人になってから計43カ国を訪ねたという秋葉社長が、独立後は毎年4〜5回はイタリアを訪ね、現在はビジネスのためにほぼ毎月現地へ通っているそう。なぜそこまでイタリアに魅せられたのか、理由について尋ねました。

自分が憧れるスタイルはミラノにすべてある

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–なぜ最近イタリアと東京の2拠点生活をスタートしたのですか?

今「オリジナルジャパン」という会社で取り組んでいる活動の一つ「Warai Sushi」が本格始動したことが大きな理由の一つです。このプロジェクトでは海外で和食事業を展開する試みで、寿司を中心とする和食から、日本人が普段食べるたこ焼きや唐揚げのようなファストフードまで多くの国の人に楽しんでいただくことが目的。その舞台として選んだのがイタリアで、現地で1200店舗以上を誇る「Coop Italy」のデリブースが、昨年4月のミラノを皮切りに各地で続々オープンしており、この3月で計9店舗に。イタリアに通う機会が増えたので、拠点となるアパートメントをミラノで借りることにしました。

―居住地をミラノにした理由とは?

ミラノは私にとって特別な街で、住むなら絶対ミラノと決めていました。初めてイタリアに訪れたのは、三井物産の入社後まもない頃でした。当時からイタリアのファッションが好きで、中でもミラノのセンスに惹かれていましたから、初めて現地に訪れた時は嬉しかったですね。それからしばらくはイタリア以外に中国やモロッコなどでもビジネスをしていましたが、自由な時間ができたらイタリアへ出かけましたし、中国・上海に住んでいた頃も、町にあるイタリア人オーナーの洋服店でショッピングを楽しんでました。
すべてが揃っている。自分の“こうありたい”と思うスタイルがこの街にある。そんな思いがあるからか、イタリアの他の地域も素晴らしいのですが、ミラノに戻ると落ち着くんです(笑)。

イタリア人と日本人だけが分かり合える食のセンス

―三井物産に勤めていた当時はさまざまな国を訪れたそうですが、「Warai Sushi」のスタート地をイタリアに決めたのはなぜですか?

まず私自身のキャリアとしてイタリア、そしてイタリアの食とつながりが深いからです。ACトレーディングを設立し、チーズはもちろん、オリーブオイルやワイン、パネトーネなどのイタリアの食品を主力商品として取り扱っています。なぜイタリアの食品だったかというと理由はいくつもありますが、そもそも私自身も好きですし、周りの日本人の中で“イタリアンが苦手”という人にはめったに出会わないので、ビジネスにもなると思いました。また衣食住の“食”や“おいしいものを食べたい”という欲求は、時代が変わっても間違いなく無くなりませんからね。

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―ビジネスをする中で、イタリアに関する新しい発見はありますか?

食において、イタリア人と日本人でしか分かり合えない感覚があることに気づきました。ずばり、食の繊細さに対するセンスです。日本人がうどんのコシや米の炊き方に一家言あるように、イタリア人にもパスタのアルデンテには“好みの加減”があるもの。例えば味付けの濃さ・薄さや、量が多いか・少ないかといったことよりも、ずっと繊細なんですよね。普段もいろんな国の友人と食事に行きますが、そばのおいしさが本当に分かるのはイタリア人だ、とひそかに確信しています(笑)。

―イタリア料理で好きなメニューは何ですか?

好きなものは色々とありますが、出張のたびに必ず堪能するのはパスタとピザです。イタリアでは地方ごとにその地域でよく食べられているパスタがあるので、いろんな町を訪ねるたびに楽しんでいます。ピザは本場のナポリでもよく食べますが、ミラノのものも美味しい。味は格別なのに日本ほど高くないので、一週間のうち3回は食べますよ。

―特にお気に入りのお店はどこですか?

ミラノの自宅から徒歩圏内にある「Al Bacco Andrea Carola」(住所:Via Marcona 1)。食堂のようなカジュアルな雰囲気のお店ですが、季節の食材のフリットはおいしいですし、ワインも手頃な値段でそろってるんですよ。ここは観光サイトでも紹介されているお店ですが、最近は知らない地域でも、あえてネットで調べるのではなく、地元の人におすすめのお店を聞いて足を運ぶことが多いかな。以前は出張のたびに有名店を訪ねていたのですが、今は生活のベースが向こうにもあるので、地元の人も集まるお店の常連になろうと思って!

ファッションやビジネスに共通するイタリーマインド

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―「オリジナルジャパン」を始め、様々な活動でお忙しそうなのに、今日も秋葉社長はスーツ姿が素敵。ファッションにはどんなこだわりが?

ありがとうございます。私が長年大好きなイタリアのファッションは、常にどこかにセクシーさがあるのが魅力。カチッとフォーマルすぎると遊びがない。車の運転におけるハンドルもそうですし、ビジネスにだって言えますが、ファッションも遊びがあるからいいわけです。いろんな物事や生き方そのものに遊び心がある。それこそがイタリア人のフィロソフィーだと思っています。

―イタリアの文化的な価値についてどう思いますか?

イタリアには国の長い歴史があり、前提として、イタリアの魅力的な方法論をそのままマネすればいいというわけではない。もちろん逆も言えることで、日本のものをそのまま伝えてもいけないわけです。ただ今の時代、インターネットが発達したことで社会がよりボーダレスになっていますが、それは文化にも言えること。たとえば日本のものをイタリアに伝えるとすれば、イタリアの魅力ととけあって新しい形に昇華するということが、昔よりも簡単になっている気がします。

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―「オリジナルジャパン」では和食という日本の魅力をイタリアへ伝える事業を展開中の秋葉社長が、日本人に伝えたいイタリアの魅力とは?

イタリア人に共通する“楽しむ”という気持ちですね。何事もまずはやってみて失敗してもしょうがないという考え方がベースにあるので、当然チャレンジの母数も増えて、成功する例も多くなる。一方、日本人のメンタリティとしては、よく言えば真面目ですが、時と場合によっては遊びがない。それによってチャンスを逃してるかもしれないし、状況を変えていくスピードも遅いわけです。ただし全部を真似すればいいというわけじゃないんです。それぞれのいいものを取り入れていくという姿勢に徹するのがいいと思います。

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―最後にイタリアでビジネスを成功させるために必要な考え方とはなんですか?

よく言われることですが、イタリア人の仕事観は実にメリハリがあるんです。やるときは情熱的にやるし、時間が来れば終わる。もちろん経営の立場か職員かでも違いますが、全体的にはライフスタイルが最優先で、そのための仕事という位置付けです。マネジメントする以上はそこを忘れないように意識します。日本人の感覚で「え?」と思うことも、怒るのではなく“ルールの理解不足だったな”と。その意味でビジネスはゲームなんですよ。イタリア人にとって遊びがあることって、やっぱり大事なんです。

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“イタリアのスーパーCOOPでWARAI SUSHI”の様子はこちらからご覧いただけます
Warai Sushi alla nuova Coop di Busto Arsizio
WARAI SUSHI – Coop Botticelli

秋葉良和 Yoshikazu Akiba
1970年12月生まれ。1994年、三井物産株式会社に入社。独立した2007年以後は株式会社 A-commerceを設立。ビジネスアドバイスや海外現地法人設立、教育事業、人材サポートなど様々な分野で活躍。また株式会社ACトレーディングでイタリア食品の貿易事業も営んでいる。2018年2月には「イタリア法人オリジナルジャパン」を設立。現在はコープイタリアにて和食事業「waraisushi」を展開中。

PHOTOS by Noam Levinger

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WRITER PROFILE
門上 奈央 Nao Kadokami
門上 奈央 Nao Kadokami

1991年11月13日生まれ、兵庫県神戸市出身。学生時代にはイタリア料理店で4年間アルバイト。22歳より3年間、海外のガイドブックを専門に制作する編集プロダクションに所属。25歳でフリーランスとなり、雑誌やウェブ、単行本でジャンルレスに活動中。まとまった休日ができれば海外へ。いつかイタリアでヴェネチアンガラスを買いたい。

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