モンド
FEATURE
FOOD 22 Feb 2019

色どり野菜パスタとイタリア各地のパンを召し上がれ〜自由が丘の隠れ家レストラン「モンド」

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料理人にとってのプロローグともいえる「まかない」に着目し、彼らのクリエイティビティの源泉を探求する……というのはウソで、普段食べられないものこそ食べたいという食いしんぼう連載『イタリアンシェフのまかないレシピ』。

今回はマンジャペッシェからのご紹介で、自由が丘の住宅地の奥にひっそりと佇む一軒家イタリアン「モンド(mondo)」にお伺いしました。

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東急東横線・大井町線の自由が丘駅から10分ほど歩いた住宅街の奥。お店の目印となるのは、写真のガラス玉だけ。
分かりづらいのですが、モンドのサイトで丁寧に説明されていますので、来店の際はぜひご参照ください。

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レストランの建物は、家並みの間に通った小道のさらに奥。歩を進めるごとに、いやがうえにも期待が高まります。この立地もモンドでの時間を愉しむための、演出のひとつになっています。

いや、ほんと素敵なんですよ、この隠れ家感。
こんなお店にさらりと来られる大人になりたかったんです。

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グリーンあふれるモンドのエントランスに到着。お出迎えいただいたのは宮木康彦シェフです。かっこいいです。宮木シェフは、青山アクアパッツァ(現クチーナ・トキオネーゼ・コジマ)を経てイタリアに渡り、パドヴァの三ツ星レストランLe Calandreでイタリアの先端料理を学び、アルトアディジェ州の Oberraut で郷土料理の温かさを知り、ブーリア州の Peppe Zullo で食材の大切さを肌で感じ、帰国後の2008年に現在の場所でモンドを開店。その経歴からも料理への真摯な姿勢がうかがえます。

アクセスしやすいとはいえない立地のモンドですが、宮木シェフの料理、タッグを組むソムリエ田村さんの提供するワイン、そしてこの空間を求めて連日お客さまが絶えることはありません。

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店内も隠れ家のようで心地よい雰囲気。趣味のよいアートピースが所々に点在するミュージアム的な印象も。10席程度と限られた席数でゲストをおもてなししています。

モンドのまかない「色々な野菜のスパゲッティ カラスミがけ」

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そろそろお腹も空いてきたので厨房へ移動しましょう。
厨房はコンパクトながら整頓&清掃が行き届いており使い勝手が良さそうです。それでは宮木シェフ、まかない作りをお願いします!

まず取り出したのは、色とりどりの野菜たち。いろいろな山菜をはじめ、カブの葉、葉たまねぎ、紫大根、たけのこ、レンコン、ビーツ、にんにく、ホワイトアスパラ、玉ねぎ、大根、人参、カブ、ズッキーニ、芽キャベツ、根セロリ、紫キャベツ、縮みほうれん草、ウド、ピサンリ、ルッコラ……計28種!

「野菜の端です。どうしてもお客さまにお出しできない部分が出てくるので。今回は格好つけて良いところも使っちゃいましたけど(笑)。まかないって野菜不足になりがちなので、意識的に野菜を多く使うようにしています」と、宮木シェフ。

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パスタを茹でます。ポイントは塩分を濃いめにすること。通常は水の1%程度ですが、1.5%の塩を使用します。

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パスタを茹でている鍋に、野菜を直接投入していきます。まずは固い物から茹でていくのがセオリーですが、やわらかく仕上げたいもの、歯ごたえを残したいもの、ほとんど生で食べたいものなど、食感のコントラストが楽しめるよう、茹で上がりを逆算しながらタイミングをはかります。

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パスタの芯まで火が通ったらザルにあげて、少量の茹で汁とともに皿に盛りつけます。「茹であげたときのこの香りが素晴らしいのです」と、うれしそうな宮木シェフ。美しく鮮やかに発色した野菜から甘い香りが漂います。

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お店で半端に残っていたカラスミをすりおろしたパウダーをたっぷりとかけ、仕上げにオリーブオイルをまわしかけて完成です。

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【レシピ】色々な野菜のスパゲッティ カラスミがけ
材料
塩水(1.5%塩分)
パスタ(乾麺)
野菜各種(あるもの)
カラスミパウダー
エキストラバージンオリーブオイル
・・・すべて適量

作り方
濃いめ1.5%の塩水で、パスタと一緒に野菜を茹でる。茹で上がったら、少量の茹で汁とともに皿に盛りつけ、カラスミパウダー、オリーブオイルをかけて完成。

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調理の工程自体は、この上なくシンプルなパスタ。調味料は塩とオリーブオイルのみ。ま、おいしそうだけど、感動するほどではないよねと食べてみると、思わず「うみゃ!」と声が出てしまいました。ただ茹でただけなのに、とんでもなくおいしい。彩り豊かな野菜たちが、それぞれの個性を活かされたまま、ひとつのプレートとしてきちんとまとめられているのです。

また28種もの野菜を使っているため、ひと口ごとに異なる味と食感が楽しめるのもうれしいところ。切れ端とはいえ、モンドで使用しているこだわりの野菜というもこともあり、一つひとつの野菜のおいしさも特筆もの。たとえば個人的にボイルした人参が苦手なのですが、ここの人参はエグみもなくおかわりしたいほどに美味。野菜の旨みを堪能した後には、カラスミの幸せな余韻が続きます。

カラスミが無い場合は、チーズやベーコン、生ハムなど、塩気がある食材を代わりに使っても良いそうです。それも魅力的ですね!

モンドのひと皿「鹿児島赤鶏もも肉と縮みほうれん草」

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まかないに続いて、モンドのイチ押しメニューをオーダーすると、出てきたのは5種類の自家製パン。「うちのスペシャリテはこのパンかもしれません」と、宮木シェフ。

モチモチ弾力の丸パン、ピエモンテ州発祥のグリッシーニ、チーズをのせて焼き上げたパーネカラザ、コリアンダーやクミンが効いたアルト・アディジェ州のライ麦パン、プーリア州のフェンネル入り堅焼きパンのタラッリーニと、どれを食べてもワインが抜群に進む味わいです。

イタリア各地のバラエティ豊かなパンがテーブルにセットで置かれるわけで、ついつい手が伸びるわけで……。料理の合間に食べ過ぎてしまう方も多いというのも納得です。

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「といっても、パンだけというわけにもいかないでしょうから」と、宮木シェフは再び厨房へ。

作っていただくメニューは「鹿児島赤鶏もも肉と縮みほうれん草」。まずは塩をした鹿児島県産赤鶏の骨付きもも肉をパウチし、54.5度で1時間半低温調理。その後57度で30分温めます。骨のまわりに赤みは残りますが、火は完全に入っている状態です。

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パウチから取り出した鶏肉をオーブンに入れ、皮目をパリッとグリルします。

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高温に加熱したステンレスの鍋に縮みほうれん草を入れて、生の部分も焦げている部分もあるというイメージで手早く焼き上げます。鍋を高温に熱することで水が蒸発しない状態になり、野菜に火を入れてもへたりにくなるそうです。料理は科学ですね。

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こちらはほうれん草のピューレ。ほうれん草と松の実、鮎のなれ寿司のお米の部分をクリームにしたもの(味見させていただいたら、クセもなくコクがあって美味)を混ぜて作ったものです。

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ほうれん草のピューレを、お皿の真ん中に敷きます。
「離れた方がいいですよ」

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「パーン!」
ピューレをスプーンの腹で叩いて飛び散らせます。びっくりするじゃないか!

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その上に、焼き上がった鶏肉と縮みほうれん草を華麗に盛りつけます。料理は芸術ですね。

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仕上げにスペインの燻製パプリカパウダーを振って、「鹿児島赤鶏もも肉と縮みほうれん草」の完成です。

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こちらの料理に合わせるオススメのワインは、フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州の生産者MOSCHIONI(モスキオーニ)の1本をセレクト。フリウリの土着品種レフォスコ種100%で、しっかりとしたタンニンと果実味を感じさせるフルボディの赤ワインです。

鶏肉の強い旨み、コクのあるソースにも負けない、パワフルな味わい。とはいえ料理とぶつかり合うことはありません。溌剌としたプレートを包み込む懐の深さをみせてくれ、ほどよい酸が甘い余韻を演出します。大人になって良かった!

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鶏肉は外も中も完璧なルックス。ブリッとした弾力を保ちながら、しっとりと柔らかでジューシー、官能的なまでに絶妙な火入れです。鹿児島赤鶏の持つポテンシャルがストレートに引き出されており、そこにソースを絡めると、野菜と魚の旨みが加わり重層的な味わいに。

フィンガーボウルもサーブされ、骨のまわりの肉は手で持ってかぶりつきます。手で持って食べると、自分自身の野生を刺激されるのか、よりおいしく感じます。これも宮木シェフの狙いのひとつだそう。高温で調理された縮みほうれん草は味が濃く、またムラのある焼き加減がアクセントとなり、1枚にさまざまな食味が感じられます。

宮木シェフは現在のモンドの料理についてこう話します。「モンドを始めて4〜5年はイタリア各地の郷土料理と先進的なイタリア料理のモデルノを対比させながら提供していました。面白かったし、勉強にもなりましたが、あまりにもカテゴリで自分を縛り付けているなと。本当はこうした方がおいしいのに、郷土料理ではルールがある、モデルノでは奇をてらわなければならない。そういうのがイヤになって、いまは枠を取っ払い、なるべくシンプルに味や素材を感じられるようにしています」

料理の要素一つひとつの意味を突き詰め、「おいしい」を探求する宮木シェフ。料理に対する誠実さが生み出したひと皿は圧巻でした。ごちそうさまでした。

モンド

(mondo Cucina Italiana)

東京都目黒区自由が丘3−13−11

TEL. 03-3725-6292

ランチ 11:30〜14:00(L.O.)

ディナー 18:00〜21:00(L.O.)

店休日 毎週水曜、第1・第3木曜日

http://ristorante-mondo.com/

初出:この記事は2018年3月21日、公開されました@AGARU ITALIA

WRITER PROFILE
あがるイタリア AGARU ITALIA
あがるイタリア AGARU ITALIA

Webマガジン「AGARU ITALIA(あがるイタリア)」は、 気分があがる(ドキドキしちゃう!)イタリア情報を届けるメディアとして、2017年9月~2018年5月まで運営(主催:イタリア大使館、サイト運営:株式会社三越伊勢丹)。2018年7月、Webマガジン「SHOP ITALIA」と合併しました。

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