FOOD 22 Apr 2019

イタリア・アブルッツォの食卓に並ぶマンマの手打ちパスタ

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イタリア・アブルッツォのマンマは朝から大忙し

知り合ってかれこれ16年。
アブルッツォで私がマンマの様に慕っているアンナマリアの口癖は「Faccio subito(ファッチョ スービト)!」。
日本語だと「あっという間にやるわよ(待ってなさい/任せなさい)!」という感じでしょうか。

マンマの朝はいつも忙しく、朝起きるとまずはたっぷり砂糖を入れたエスプレッソを立ったまま啜ってエンジンを掛けます。

そこからベッドを整え、飼っている鶏やアヒルに餌をあげ(前日の夕食で出た野菜のヘタや固くなったパンなど)、自転車に乗って病院や銀行、パン屋、市場などを回って用事を済ませて家に戻る頃には、あっという間にお昼どきになっています。

お昼になると学校や仕事場から家族がお腹を空かせて帰ってきます。
特に近くの工場で働く息子は1時間の昼休みを利用して家に戻ってくるので、待たせる訳にはいきません。休む間もなくその日家族の誰が自宅で昼食をとるのかを確認し、それぞれの好みも考えながらメニューを決めていきます。
私がいるときなどは、限られた滞在期間の中で出来るだけ好きなものを食べさせてあげようと、私の好物を中心にメニューが組み立てられることも多くなります。

アンナマリアはその昔、町で人気の手打ちパスタ店を営んでいたほどのパスタ名人。
今でも週末になると親戚や友人が彼女のパスタを食べに遊びに来るほどの料理上手でもあり、やはりマンマの味と言えば手打ちパスタを使った料理が食べたくなります。

ランチに、アブルッツォの郷土料理手打ちのショートパスタをリクエスト

そんな彼女が作るパスタの中で、特に私が好きで、アブルッツォ滞在中必ず何度かリクエストするのが
アブルッツォの郷土料理でもある「Sagne e fagioli(サーニェ・エ・ファジョーリ)」。
サーニェとはこの地方で食べるショートパスタの一種で、見た目は短くした稲庭うどん(平たい細めのうどん)といったところでしょうか。
ファジョーリは豆のこと。自宅の畑でパパが育てたうずら豆をほくほくになるまで湯がき、これまた自家製のトマトソースと合わせて頂くシンプルな一皿です。

この日も、「それじゃあサーニェ・エ・ファジョーリにしよう」決めてくれたのは嬉しいけれど、「果たして今から手打ちパスタを作る時間なんてあるんだろうか・・・」そんな私の心配を察してか、先程の言葉が飛び出します。

「Faccio subito!(10分で出来るから見てなさい!)」

この言葉を聞く度に、プロのプライドと頼もしさを感じます。

手打ちパスタがあっと言う間に。イタリアンマンマの熟練の技

メニューが決まったとなるひと息つく間もなくエプロンを着け、専用のパスタ打ち用の板をセッティングしたらパスタ作りの始まりです。
2種類の小麦粉に水と少量の塩を加え、手が覚えている感覚で粉や水の量を微調整しながら力強く捏ねていきます。(※サーニェのレシピには卵を使うものもあります。)

イタリア

捏ね上げた後はパスタマシンに何度か通し、薄く伸ばしていきます。

イタリア

薄く伸ばした生地を何枚か重ね合わせ4〜5センチ幅に切り分けます。

イタリア

さらに2〜3ミリ幅に切っていきます。

イタリア

この間の手際良さは何度見ても見惚れるほどの鮮やかさで、どの工程もいとも簡単にやってのけるのですが、決して見ているより簡単なことではありません。(恥ずかしながら私は見る&食べる専門で、実際に挑戦したことはありません。)

イタリア

本当に言葉通り、あっという間に出来上がったパスタの美しいこと・・!

イタリア

余裕がある時は、さらにロングパスタやニョッキなどもついでに作ってしまうのでさすがです。

もちろん、パスタ作りに並行してソース作りも行います。
あらかじめ茹であげておいたうずら豆にトマトソースを投入し、別の鍋ではパスタを湯がくお湯を沸かします。
私はこの汁を多め(イタリア語では”brodosoブロドーソ(汁気の多いという意味)”)にして食べるのが大好きで、このサーニェ・エ・ファジョーリも毎回「ブロドーソにして」とお願いします。

大きなお鍋でたっぷり作ったら鍋のままテーブルに運んで、熱々のうちに取り分け、
各々の好みに合わせて、たっぷりチーズをおろし、ピリ辛のフレッシュな唐辛子を刻んでさらに味にカスタマイズしていきます。

イタリア

アブルッツォに来て知ったことですが、日本ではパスタ料理と言えば細くて長いスパゲッティのイメージですが、こちらでは料理法やソースによってショートパスタを食べることも多く、スーパーにもかなりの種類が並んでいます。

特に冬の間や今のようにまだ時々寒さが戻る季節などは、温かい汁ものが恋しくなります。そんな時はいつものトマトソースに少し茹で汁を多めに加えて伸ばし、スープ仕立てにして食べる方法があります。
こういう時に合わせるパスタは専らショートパスタで、ストックが無いときなどは、スパゲッティをポキポキ折って入れることもあります。茹で汁で薄める分、味がまろやかなになり食も進みます。

ショートパスタの魅力は大きなスプーンでガシガシ頬張れるところ。
温かいスープとともに流し込むと、マンマの味がまさに五臓六腑に沁み入っていくのです。

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WRITER PROFILE
保坂優子
保坂優子

アブルッツォ州での留学経験を経て、2002年から大阪とアブルッツォを行き来する生活を続けている。 2009年のラクイラ地震を機に州の紹介サイトAbruzzo più(http://abruzzo.jp/)を立ち上げる。2016年4月からフリーペーパー「アブルッツォ通信」共同発行者。都市計画コンサルタントとして地方都市のリブランディングに携わりながら、アブルッツォに関する講演やコラムの寄稿、現地コーディネートなどを行う。 インスタグラム:@abruzzo_piu FB:@abruzzopiu

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