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FOOD 20 Aug 2018

イタリアワインの品揃えは東京一! 秘密基地のようなワインショップ【イタリアワインと私】Vol.2 別所正浩さん(ラ・カンティーナ・ベッショ)

平林 享子 Kyoko Hirabayashi
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先日、さる筋から「バジリカータ州のアリアニコ・デル・ヴルトゥレのおいしいワインを、至急、何種類か入手してほしい」というミッションを受けた私。恥ずかしながら真っ先にイタリアの地図を広げて、バジリカータ州を探しました。「あっ、この土踏まずの部分がバジリカータ州なのね!」。

そして捜索をスタート。そもそもバジリカータ州のワインを扱っているインポーターは少なく、結論から言うと、下手に動き回るより、ネットで購入するのが一番早かったのですが、何事もトライすることはムダではないのであります。過程での収穫物が多く、その1つは、都内でイタリアワインの品揃えがもっとも豊富なワインショップ「ラ・カンティーナ・ベッショ」の存在を、「イタリアワイン阿部」の阿部さんから教えてもらったことでした。

神宮前のコンビニ脇の細道を「エッ? ほんとにここに!?」と半信半疑で進んでいき、ドアを開けると「なんなんだ、この秘密基地のようなワイン倉庫は!」という驚き。

ラ・カンティーナ・ベッショ

何に似ているかというと、神保町の老舗の古書店です。入口には初心者にもお手頃価格の掘り出し物が並び、奥まった場所には(古書でいうと)荒俣宏さんや鹿島茂さんが垂涎のレアものが鎮座する…みたいな。

ラ・カンティーナ・ベッショ

天井までうず高く積まれた古書、じゃなくてワインに囲まれている別所さんに「かくかくしかじかのワインを探しているんです」と告げると、テキパキとオススメのワインを見繕ってくれました。すばらしい手際のよさで、一件落着。 The case is closed. 誰か、ワイン探偵ベッショが、毎回ワインの知識と華麗な推理で殺人事件を解決するミステリー小説を書いてください…と思いました。

小説といえば、今春、出版された山口恵以子さんの料理小説『食堂メッシタ』(角川春樹事務所)は、目黒にあった人気イタリアン「メッシタ」(2017年閉店)のシェフをモデルにした小説ですが、「ラ・カンティーナ・ベッショ」が実名で登場しています。「豊富な品揃えと主人の目利きが素晴らしく、開店以来ほぼ毎日ワインを仕入れてきた…」という部分は実話ですね。必読です。

ラ・カンティーナ・ベッショ

Q1.現在のお仕事について

東日本大震災の爪痕残る2011年7月。家業であった酒屋を閉め、大好きなワインをより深く、熱く紹介したいという想いが高じて、ワイン専門店「La Cantina BESSHO」を前店舗の倉庫を改装してリニューアル・オープン。大好きなイタリアを筆頭に、3000種12000本のワインを小さな箱にギュッと詰め込んだ秘密基地的ワインショップです。

店名「La Cantina BESSHO」の「Cantina」は、イタリア語で「ワイン貯蔵庫」の意味。新店舗名を決めかねていた自分に、イタリアワインのインポーターをしている仲良しのイタリア人(本人はローマ人と言っていますが…)が、「こんなのはどう?」と命名してくれました。

ラ・カンティーナ・ベッショ来日したワイン生産者たちが書き残したメッセージも熱い! 壁に飾られたイラストには、ハヤシコウさんの作品(左上)もありました。ラ・カンティーナ・ベッショは、イタリアワイン業界ネットワークのハブのような存在なんですね!

Q2.イタリアワインとの出会いは?

家業の酒屋を継いだのが23歳の時。最初からワインが好きだった訳ではなく、むしろ下戸に近かったので、酒屋の店主でありながらも酒飲まずの日々。それから10年後に出会った「樽の効いたシャルドネ」。衝撃でした(笑)。「ワインってこんな美味しいものだったのか…」。以来、猪突猛進的にワインにのめり込み、フランスを筆頭に、世界中のワインを飲みまくりました。

何年かすると、フランスやニューワールドのワインは、産地、品種、醸造等の情報があれば、飲まなくてもおおよそ味の想像がつくようになりました。変わらず美味しいし、安定感も抜群なのですが、驚きが無くなってしまい…。

ワインに対するワクワク感を失いかけた、そんな時に出会ったのがイタリアワイン! 2000種以上の宝石のような地葡萄がワンダーランド‼︎ 栓を開けてみなければ、どんな味わいか分からない恐怖(?)、驚き、そして喜び。それが現在まで続く長い長いイタリアワイン探求の旅の始まりでした。

Q3.イタリアワインの魅力は?

他に類をみない圧倒的な「多種多様性」。イタリア20州それぞれに残された2000種以上に及ぶ土着品種、土壌、気候、文化が織り成すその味わいは唯一無二。同じワインであっても、翌年はラベルは別物、品種や醸造方法も違うなんてことは「イタリアワインあるある」。安定感があるとは言い難いが、より良いワインを造るための変化を優先していると受け止めれば、それはむしろ長所であります。

イタリアワインの歴史は6000年と言われてますが、クオリティワインとしての、ここ20年の進歩は目覚ましい。おそらく生産者の表現したい想いが昇華されるのは、さらに20年、30年後。その変化、成長を見守り続ける楽しみがイタリアワインにはあります。

有り難いことに、年間30〜40組程の生産者がうちの店を訪ねてくれます。持論でありますが「良いワインを造る人間は良い人間である!」と思っています。イタリアはワインだけでなく、それを造る人間も実に魅力的なのです。

Q4.とくにオススメのイタリアワインを2本、挙げるとしたら?

ラ・カンティーナ・ベッショ

取り扱っている1500種類ものイタリアワインの中から、オススメの2本を選ぶということ自体至難の技なのですが…(笑)。どれもそれぞれオススメの個性があるのですが、今回はその中でも自分にとってベンチマークであり続ける2本を。イタリアと言ったらサンジョヴェーゼとネッビオーロは外せません。

●San Giusto A Rentennano / Percarlo  2013 (写真左)
トスカーナのガイオーレ・イン・キャンティで、自分の信念を貫き、つねに畑で汗を流す男が造るサンジョヴェーゼの最高峰。自分が死ぬときに飲みたいと決めている一本‼︎

●Giuseppe Rinaldi / Barolo Brunate 2013 (写真右)
ピエモンテのバローロで、昔気質な伝統主義者が造る、ネッビオーロと土地の個性を存分に表現する唯一無二のワイン。今もそしてこれからもピエモンテの至宝としてあり続ける存在‼︎


ラ・カンティーナ・ベッショ

PROFILE
別所正浩(べっしょ・まさひろ)
La Cantina BESSHO(ラ・カンティーナ・ベッショ)店主
1964年、東京生まれ。生まれも育ちも神宮前。大学卒業後、祖父が1911年に創業した酒屋を継ぐ。2011年、コンビニエンス形態の酒屋「WINE&GROCERY BESSHO」からワイン専門店「La Cantina BESSHO」へ。
「売れるワインを売る店でなく、売りたいワインを売る店でありたい」x「自他共に認めるイタリア大好き人間」。イタリアワイン専門店ではないが、気付くと取り扱い3000種類12000本のワインの半分はイタリアに…。

ラ・カンティーナ・ベッショ

SHOP DATA
La Cantina BESSHO(ラ・カンティーナ・ベッショ)
●住所:東京都渋谷区神宮前2-25-5 別所ビル・アネックス1階
●営業時間:(月〜金)15:00〜21:30 (土)13:00〜21:30
●定休日:日曜・祝日(※祝日は臨時営業多々あり)
●TEL:03-3401-1991
●Facebookページ https://www.facebook.com/LaCantinaBESSHO/

◆Q&Aのテキスト&写真/別所正浩

【連載「イタリアワインと私」バックナンバー一覧はこちら】

WRITER PROFILE
平林 享子 Kyoko Hirabayashi
平林 享子 Kyoko Hirabayashi

エディター、ライター。早稲田大学教育学部卒業。美術・デザイン・映画を得意ジャンルとするフリーランスとしてさまざまな雑誌で活動した後、映画制作会社のスタジオジブリの出版部へ。インハウスエディターとして、宮崎駿著『折り返し点』(岩波書店)などの書籍、展覧会図録、広報誌「熱風」の編集を担当。ジブリ退職後は活動の場をWebメディアに移し、2018年よりWebマガジン「SHOP ITALIA」の創刊編集長(2018年2月~10月)。

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