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FASHION 14 Jun 2019

ラポ・エルカーンが作ったやんちゃ坊主の遊び場「ガレージ・イタリア・ミラノ」に松尾健太郎が行ってきた!

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取材で訪れたミラノ。宿泊したホテルのフロントで「ガレージ・イタリアへ行きたいんだけど、どこか教えてもらえる?」と聞くと、係の女性は「ああ、ラポがやっている店ね。この近くよ……」といいながら、クスリと笑ってウィンクしました。

ラルベレータ ルレ&シャトー」で寛ぐ著者

ミラノ取材の後は、そこからクルマで一時間ほど行ったところ、ワインで有名なフランチャコルタ地方の「ラルベレータ ルレ&シャトー」で寛ぐ著者

愛すべきイタリアの“やんちゃ坊主”

イタリアにおいて、ラポ・エルカーンとは、誰もがクスリと笑みを浮かべる存在なのです。
ラポをご存知ない方のためにざっと紹介しておきますと、彼はイタリアの国民的英雄にして元フィアット総帥、故・ジャンニ・アニエッリの孫という生粋のサラブレッド。フィアットをはじめ、フェラーリやマセラティを傘下に収めるFCA会長のジョン・エルカーンは実兄にあたります(ルノーとの提携を進めていた人物としてニュースでも度々名前が出てきました)。

しかし出来のいい兄と比べて、ラポの方は昔から問題児として知られてきました。無類の女性好きで(一説には男性も)、麻薬で逮捕されたり、狂言誘拐を企てたり、何かとスキャンダルも多い人物。しかし、ルックスとセンスだけは抜群。祖父アニエッリから譲り受けたビスポーク・スーツを纏い、颯爽とフェラーリを駆る様は、モデル顔負けのカッコよさ。イタリア随一のファッション・セレブとされています。冒頭の女性の笑みの理由は、彼が愛すべきイタリアの“やんちゃ坊主”だからといえましょう。

ガレージ・イタリア

そんなラポの店「ガレージ・イタリア」は、ミラノの中心から北へ5kmほど上ったところに位置しています。建物は建築家マリオ・パチョッキが設計し、1953年に建てられた旧いガソリンスタンドをリニューアルしたもの。改装はやはり著名なデザイナー、ミケーレ・デ・ルッキが手がけた。アール・デコ風の外観が角地に沿って曲線を描いています。

ガレージ・イタリア

オープンしたのは2015年で、1700㎡の巨大な空間にカフェ、レストラン、ガレージ、そしてラポのオフィスが併設されています。エントランスを抜けるとまずはカフェ部分が広がるのですが、その内装はまさに“男の子のおもちゃ箱をひっくりかえしたような”有り様。

ガレージ・イタリア

天井からはフラーゴ社の1/18スケールのミニカーが山のようにぶら下げられ、壁一面にヘルメット、ハンドル、レーシングスーツなどがディスプレイされています。これらは皆ラポのコレクションだそう。

料理は名シェフ、カルロ・クラッコが手掛けます

セレブが経営する店ですが、コーヒーなら5ユーロ、グラスワインは7ユーロ程度からあり、誰でも気軽に入店できます。事実、観光客以外にも、近隣の住民らしき人々がカウンターでお喋りに興じていました。

むき出しのスチールが印象的な階段を上ると、2階はリストランテとなっています。中央には名車フェラーリ250GTOのボディが鎮座。客席のシートはカッシーナ製だといいます。

ここを仕切るのは、イタリアで最も有名なシェフ、カルロ・クラッコ。“エノテカ・ピンキオーリ”など数々の星付きレストランのシェフを歴任し、自らのレストラン“クラッコ”は、世界のベストレストラン50にも選ばれたことがあり、TVの料理番組にも出演している有名人です。

提供されるのはヌーヴェル・イタリアンで、”アイルトンのカポナータ”、”エンツォのトルテッリ”など、クルマ関連の名前が付けられています。タイヤの跡がついたパスタやデザートなど、ユーモア感覚溢れる一皿も多い。プレジャーボート“リーヴァ”の舳先を模したテラス席からは、ミラノの街並みを望むこともできます。

迷彩柄フェラーリなど世界で一台だけのワンオフ・カーが作れます

クルマだけでなく、ボートのカスタムも可能。写真は船のロールスロイスと呼ばれるイタリアのRiva
1階の奥に進むと、広々としたガレージが現れます。天窓から太陽光が降り注ぎ、クルマの整備場とは思えない開放的な空間です。ガレージ・イタリアの本業は、改造車の製作。ラポのセンスを活かした、さまざまなモディファイを施しています。その範疇はクルマだけに留まらず、オートバイ、ボート、プライベート・ジェットにまで及ぶといいます。

更に奥には“マテリオカ”と呼ばれる素材ルームがあり、色とりどりのサンプルが並んでいます。顧客はここでラポと相談しながら、世界で一台だけのワンオフ・カーを作り上げていくのです。得意技はクルマを丸ごと特殊フィルムで包んでしまう“ラッピング”です。

今までに手がけたものとしては、カムフラージュ柄のフェラーリ458イタリア、デニム内装のフェラーリ・カリフォルニア、外装が千鳥格子に覆われたアバルト500、バーバリー風チェックを纏ったフェラーリ512TRなど。どれも普通では思いつかない、ラポならではの大胆な発想が生かされています。リリースされた車両は、その後オークションなどで高値をつけることも多いといいます。

ガレージ・イタリアは、男の子がそのまま大人になって「好きなことを全部やったら、こんな形になっちゃった」という店。もしミラノへいく機会があって、クルマと美味しいものが大好きなら、ラポ・エルカーンという希代のやんちゃ坊主の遊び場を、ぜひ覗いてみて頂きたい。

Garage Italia Milano(ガレージ・イタリア・ミラノ)
Viale Certosa, 86, 20151 Milano MI
Tel:02 3343 1857
https://www.garage-italia.com/

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WRITER PROFILE
松尾健太郎
松尾健太郎

THE RAKE 日本版編集長、クリエイティブ・ディレクター 株式会社世界文化社にて、月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。‘05 年同誌編集長に就任し、のべ 4 年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン編集長、新潮社 ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。現在、インターナショナル・ラグジュアリー誌“THE RAKE”日本版編集長。

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