INTERVIEW
FASHION 01 Oct 2018

ダミアーニ新CEOが語る、イタリア最高峰ブランドの挑戦

平林 享子 Kyoko Hirabayashi
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イタリアを代表するハイジュエラーのダミアーニ(DAMIANI)。今年(2018年)の4月に最高経営責任者(CEO)に就任したジェローム・ファビエ(Jérôme Favier)さんが8月下旬に来日、中央区銀座「ダミアーニ 銀座タワー」でインタビューしました。

ダミアーニCEOのジェローム・ファビエさん

卓越した職人の技術と独創的なデザインで知られるダミアーニは、1924年、イタリアの宝飾工房が集まる街ヴァレンツァで、エンリコ・グラッシ・ダミアーニが創業。エンリコの息子ダミアーノが二代目、1996年以降は三代目となるグィド、シルヴィア、ジョルジョがブランドを率いています。

ダミアーニ・グループは、主力ブランドのダミアーニの他、「サルヴィーニ(SALVINE)」や「ブリス(bliss)」、ベネチアングラスのブランド「ベニーニ(VENINI)」などを擁するマルチブランド企業であり、今後の抱負やブランドの展望について、ファビエさんにお話を聞きました。

◆インタビュー・文/平林享子

銀座7丁目、銀座中央通りに面した「ダミアーニ 銀座タワー」。1階は最新モデルのジュエリーや時計、2階はブライダル、3階にはマスターピースや限定品を展示。

ダミアーニのお客様は本物を求めている

――ファビエさんがダミアーニのCEO に就任された経緯について伺えますか?

ファビエ:2つの理由があります。1つは個人的な理由で、もう1つは職業人としての理由です。

まず1つ目の個人的な理由として、私はフランス人ですが、南仏のマルセーユ出身ですので、イタリア人に近いラテン気質をもっています。イタリアのデザインが大好きですし、イタリアの創造性や感受性にとても心惹かれます。 その点で、ダミアーニというブランドがもっている価値観に親近感を抱いていました。

次に職業人として、ダミアーニが私を惹きつけた理由は、創業から現在まで途切れることなく創業家ファミリーがクリエーションをリードし続けていること、ブランドとしてお客様に対して誠実に、真摯な態度で「本物」をつくり続けていること、そしてお客様にとって身近な存在であり続けていることです。

ダミアーニのお客様は、本物を求めています。マーケティングやビジネス的発想でつくられたものではなく、すぐに消えるものではなく、神聖なものを求める気持ちが強い。ですから、私たちメゾンとしての態度も、お客様に対して誠実であること、真摯であることが大切だと思っています。その点でダミアーニというブランドは、唯一無二のブランドとして、今後さらに真価を発揮していくポテンシャルがあると感じています。

「マルゲリータ」コレクションより。

――ファビエさんは、これまでにもいろいろなブランドの経営戦略に携わってこれらた方ですが、ダミアーニというブランドについて、「ここを変えたい」と思う部分と、「変えないで守っていきたい」と思う部分、それぞれどんなところでしょうか?

ファビエ:おっしゃる通り、守るべきところと変えていくところがあると思います。私たちのメゾンがもっているすばらしい遺産を守りながら、新しく発展させていくミッションが私にはあります。遺産の中でも大切なものの1つは伝統的な職人の技ですが、それを後世に伝え、今の時代に合わせて進化させていくこと、そしてもっと広く世界中に伝えていくことが私の仕事です。

グローバル化が進む時代だからこそ、イタリアの伝統を守ることがブランドの価値に

――今後の日本での展開はいかがでしょうか? 

ファビエ:日本には、このダミアーニ 銀座タワーをはじめ、14の直営店があります。日本にはロイヤルカスタマーがたくさんいらっしゃるので、日本のお客様に喜んでいただけるように日本限定のアイテムも販売しています。

ダミアーニ 銀座タワー3周年を記念して発表された「ベル エポック」コレクションの新作ネックレス。

またダミアーニ・グループには、ダミアーニの他に、「サルヴィーニ(SALVINE)」、「ブリス(bliss)」、ベネチアングラスのブランド「ベニーニ(VENINI)」などのブランドがありますので、男性女性かかわらず、年齢層も幅広く、いろいろなニーズに応えていきたいと思っています。

昨日、福岡に行きましたが、アジアからの観光客の方がたくさんいらっしゃいました。今後、ますますインバウンドの観光客が増えるでしょうから、そうした需要にも応えていきたいと思っています。

伊勢丹新宿店本館4階でポップアップストアを期間限定オープン(2018年9月19日~10月2日)。

――多くのブランドがグローバル化、グループ化する一方で、マーケットも国境がなくなり、日本だけで考えるよりアジア全体で1つのマーケットととらえられるようになってきていると思いますが、そのような時代において、どのようなブランド展開が有効なのでしょうか?

ファビエ:そういう時代だからこそ、ダミアーニが強みを発揮できると思っています。 ダミアーニは、創業以来ずっとジュエリーの都と言われるヴァレンツァに拠点を置き、イタリアの伝統に深く根ざし、伝統を守りながらダミアーニ家のファミリーが一貫してクリエーションを統括しています。さまざまなブランドがグローバル化していく中で、アイデンティティや正統性を保っていることが、お客様に支持されている理由だと思います。

そして、私たちは、ブランドの過去の歴史や遺産に甘えることなく、お客様の声を聴いて、ダミアーニならではの価値を提供していくが大切であり、そこにラグジュアリーの真の価値があるのだと思います。

――最後に、ファビエさんのプライベートな側面を、少し教えてくださいますか。

ファビエ:私が住んでいるのはスイスのルガーノ(イタリア語圏ティチーノ州の街)で、妻と2人の子どもがいます。ごく普通の、シンプルな人間です。家族が好きで、自然が好きで、発見が好き。 仕事でもプライベートでも、とても好奇心が強いと言えます。幸せだけれども、完全に満足はしていない、それが前に進む原動力になっていると思います。

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PROFILE
ジェローム・ファビエ  Jérôme Favier
1970年、フランス・マルセイユ生まれ。大手食品会社で役員をつとめた後、コンパニー フィナンシエール リシュモン(COMPAGNIE FINANCIERE RICHEMONT)でカルティエ(CARTIER)、ジャガー・ルクルト(JAEGER LECOULTRE)のマーケティングや経営戦略に携わる。2018年4月より、ダミアーニ・グループCEOをつとめる。

WRITER PROFILE
平林 享子 Kyoko Hirabayashi
平林 享子 Kyoko Hirabayashi

エディター、ライター。早稲田大学教育学部卒業。美術・デザイン・映画を得意ジャンルとするフリーランスとしてさまざまな雑誌で活動した後、映画制作会社のスタジオジブリの出版部へ。インハウスエディターとして、宮崎駿著『折り返し点』(岩波書店)などの書籍、展覧会図録、広報誌「熱風」の編集を担当。ジブリ退職後は活動の場をWebメディアに移し、2018年よりWebマガジン「SHOP ITALIA」の創刊編集長(2018年2月~10月)。

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