CULTURE 27 Apr 2020

「お籠りでも復活祭を楽しく!我が家の復活祭メニューと伝承したい卵染め」林由紀子の土着的イタリア田舎暮らし番外編

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こんにちは!
土着的イタリア田舎暮らし日記>の連載を楽しみにして下さっている皆さん、いつも本当にありがとうございます。

様々な花をあしらったブーケ

私の暮らすイタリアはまだまだ外出規制が続き、5月の頭まで現在の状況を継続するとのお達しが政府よりあったばかり。去る4月12日(日)はパスクワ(復活祭)でしたが、近代のイタリアでは歴史上初めての『お籠り復活祭』。身内が集合することも許されず、セカンドハウスへ移動することも完全に禁止された中での、それぞれの小さな巣の中で過ごすこじんまりとした復活祭となりました。

ヘリやパトカーなどが巡回し、こっそり外出しようとする違法者を取り締まるくらい、警戒態勢が強かったこの祝日。私は午後自宅の畑を耕していましたが、こんな田舎でもやはり上空に巡回中のヘリが飛んでおり、驚いたものです。

自宅でお籠りといえど、復活祭はやはりイタリアでは大切なお祭り。我が家では1週間前からコツコツと準備を進めていました。今回は、我が家の『お籠り復活祭』でどんなメニューがテーブルに上ったか、どんな風に家で準備を楽しんだかなど、お話をしていきましょう。

1年に1度の『ハーブの卵染め』

ハーブや野菜で鮮やかな色に染まる茹で卵
ハーブや野菜で鮮やかな色に染まる茹で卵

私が毎年復活祭では欠かさない準備の1つに、復活祭の朝にいただくゆで卵をハーブで染める『ハーブの卵染め』があります。これは、復活祭の朝食に祝詞を受けた卵を茹でていただく、という習慣から来ており、少しでも復活祭のテーブルを美しく彩ろうという先人の工夫から生まれました。野菜やハーブから抽出した色で卵を染めることで、なんとも美しい色合いの卵を楽しむことが出来ます。染めだすハーブや野菜は、紫キャベツやブルーベリー、玉ねぎの皮、赤いビーツや野草のネトル、パセリなど。

茹でた卵の表面にきれいな植物の形を染め抜くのがこの染め方の醍醐味なので、小さな花やきれいな形の葉を茹でた卵の表面にはちみつを糊代わりにしてあてがい、ヴェールなどでしっかりと包み込み、温めた染色液に入れておきます。

ヴェールで卵にぴったりハーブを密着させている様子
ヴェールやストッキングなどでぴったりハーブを密着させる

そうすると、卵の殻は少しずつ色を吸い、ステンシルのように植物の柄が残されて、きれいな柄になって残ります。ヴェールを外し、葉や花を取り除くと・・・ほら、このとおり。

茹で卵にハーブが密着した状態
染色液の色が植物の輪郭を残せれば成功!

なぜ復活祭に卵が使われるようになったのか?というお話ですが、やはり卵は元来春の訪れを表すものであり、古くはローマ帝国時代から春の祭りには新しい命の誕生にふさわしい「卵」を贈りあう習慣があったそうです(天然で育つ鶏は冬は卵をほぼ産まなくなります)。

キリスト教が生まれる随分前からすでに春の訪れのお祭りとして自然崇拝の民衆信仰として定着しており、キリスト誕生後は復活祭として少しずつ形を変えてきた、ということなのですね。そんな歴史を思いながら復活祭の朝いただく飾り卵は、ちょっと特別な美味しさで、素朴ながらも美しいこうした風習が消えずに続けばいいなあ、と願った朝でした。

平和の象徴の白鳩をかたどったお菓子「コロンバ」とマルケ州定番の「クレッシャ・ディ・パスクァ」

白鳩をかたどったアーモンドの香りが香ばしいコロンバ
アーモンドの香りが香ばしいコロンバ

イタリアの復活祭の季節に出回る菓子パンといえば、このコロンバ。あまりよくわからないかもしれませんが、羽ばたく白い鳩の形をしています。この形がなんとも可愛らしく、お祭りである雰囲気を醸してくれるので子供が小学校に入ってからは我が家でも焼くようになりました。天然酵母を使ったこのようなパン焼きは下準備が長く発酵時間も合計2日がかりと手間がかかります。でも、1年に1回のふんばり。今年は適した強力粉が手元になく、家にある小麦粉で代用したため膨らみはいまいちでしたが、それでもなかなかいい感じに焼けてくれ、一安心したものです。

クレーシャ・ディ・パスクアとサラミ、茹で卵
クレーシャ・ディ・パスクアとサラミ、茹で卵が揃えば朝食は完璧です

それから、マルケ州の復活祭の朝食に欠かせない塩味のパンがあります。クレッシャ・ディ・パスクァと呼ばれるこのパン、地域によってはピッツァ・サラータ(塩味のピザ)と呼ばれたり、クレッシャ・ブルスカと呼ばれたり。要はたっぷりのペコリーノチーズと卵が入った栄養満点のパン、といったところです。我が家ではこのパンを焼くのはイタリア人の旦那さんの役目。息子はお父さんの焼くこのパンが大好きで、復活祭の時期には3度も焼いてもらっていました。このクレッシャ・ディ・パスクァとゆで卵、サラミとコロンバが揃えば、お籠りでも完璧な復活祭の朝が迎えられます。

昼食にはネトルの「カンネッローニ」

野草のネトルをたっぷり練り込んだパスタのカンネッロー二
野草のネトルをたっぷり練り込んだパスタのカンネッロー二

お祭りの日は朝食に続き、昼食のごちそうがあります。いつもの大人数であれば羊の内臓料理やらフライやらが出てくるのですが、家族3人ということで今年はあえてオーブンパスタ料理のカンネッローニにし、ごちそう1品と付け合わせなどで済ませました。非常事態にあれもこれも揃えようとすると、他の方々に行き渡らなくなることもあるかもしれません。家にあったもので料理を作ろうと思っていましたので、作り置きのあったラグーを使い、野草ネトルのパスタを打ちました。ハンカチ状に広げた生地を茹で、一枚一枚に詰め物とネトル、ベシャメルを伸ばしてくるくるとシガー状に巻いていきます。

パスタの中に野草ネトルを練りこんでいる様子
パスタの中にも具をたっぷり巻き込みます

耐熱容器に巻いたパスタを並べ、さらにラグーとベシャメルをたっぷり。最後にパルミジャーノチーズを振りかければ、あとはオーブンに入れるだけ。じっくりと焼いたカンネッローニは、家にあったもので作ったとしても大きなごちそう。家族にも大人気で嬉しい昼食となりました。

こうして家族で穏やかに過ごした復活祭。午後は食べすぎを解消すべく畑でしっかり仕事をし、庭でスミノミザクラのお花見をしました。

庭に咲くスミノミザクラの花
庭で満開のスミノミザクラ。初夏には実を収穫しお酒を作ります

家族全員がこうして元気に過ごせていられることに本当に感謝です。

色々なものがありすぎることに慣れるのは怖いことですが、無いことに慣れてゆくのも意外と出来てしまうもの。これはこれで、楽しみ方を覚えていくと順応性も身につくのかもしれません。

今日も、読んでいただきありがとうございました。

イタリア田舎暮らし情報が満載の林由紀子さんの記事はこちら

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WRITER PROFILE
林由紀子
林由紀子

マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。http://www.collinediraffaello.it/

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