CULTURE 22 May 2020

デパートや小売、飲食店が営業再開。コロナウイルス共存生活3週間をフィレンツェからリポート

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5月18日からイタリアでは大幅に外出規制と経済規制が緩和されました。住んでいる州内の移動では、外出の際に義務付けられていた外出許可自己申告書の携帯も不要になり、大勢の集まりでない限り友人に会うこともできるようになりました。他人との距離は1メートル以上空ける、屋内や他人と1メートル間隔を空けられない場合はマスク着用の義務は継続されます。

70日の休業を経て、デパートや小売、レストランやカフェが営業再開

小売店が営業再開になる前日の17日には、ロックダウンになった3月10日のままのショーウィンドウもまだ多く見られました。厚手ジャケットを着用したマネキンが残っているショーウィンドウを半袖Tシャツ姿の市民が眺めている光景を目にしましたが、ロックダウンの期間は季節がこれだけ変わるほど長かったことを物語っていました。

ウィンドウショッピングを楽しむイタリア人女性

そんな長期休業を経て、18日にデパートや小売店は「マスク着用、店内に入る際に手を除菌、ビニール手袋着用」「客同士の間隔1メートル以上を保てる」のルール厳守の上、入店人数制限ありで営業が再開されました。

ショップの前で会話する若い男女

営業再開したショップのショーウィンドウには「BENTORNATI(おかえり)」や「Let’s start again(再スタートしましょう)」といったメッセージが踊り、どのお店の入り口にも「客同士の間隔を空けること」の注意書きが貼られ、入り口には消毒ジェルとビニール手袋が備えられていました。

入店前に手袋をつける女性客入店前に手袋をつける女性客

GUCCIの店舗ではソーシャルディスタンスとマスク着用の説明をかわいいイラストで紹介GUCCIの店舗ではソーシャルディスタンスとマスク着用の説明をかわいいイラストで紹介

18日初日のフィレンツェはあいにくの雨かつ平日の月曜日でしたが、それでもいくつかのショップ前には買い物客の列ができていました。特に多かったのは高校生くらいの男女のグループですが、スーパーのビニール袋以外のショップの紙袋を両手に持った人たちを見かけるのは実に2ヶ月半ぶり。少しずつ以前のような日常が戻ってきていることを実感しました。

買い物袋をぶら下げ歩くイタリア人女性

また、6月1日から再開とされていたレストランやカフェなどの店内営業も、前倒しで18日から営業再開となりました。シニョリーア広場にある老舗カフェ「Rivoire(リヴォワール)」では、オープンスペースにてテーブル間隔を大きく空けて営業を再開していました。お茶やカクテルをテーブルで楽しむお客の姿を見るのもこれまた2ヶ月半ぶりのことです。

マスクを着用してカフェでコーヒータイム

しかし、営業再開が可能になったとはいえ、全てのショップやレストランが営業再開したわけではありません。テーブル間隔を大きく空けると必然的に受け入れられる客の数は減り、採算が取れないレストランは店内営業を控えています。

営業可能となっても閉店のままのショップやレストランも

喜ばしくないことですが、フィレンツェには観光客向けのレストランやバール、ショップというものが存在します。適正価格を知らない外国人観光客を対象に「見栄えはする店構えだけれど、味や品質はいまいちで価格だけは高い」といったようなお店です。こうしたお店にはフィレンツェ市民は行きません。18日時点ではまだ州外への移動は規制されているため、観光客がいない状況ではそういった観光客相手のお店は開いていませんでした。

ほとんどの宝石店がまだ閉店中のポンテベッキオほとんどの宝石店がまだ閉店中のポンテベッキオ

フィレンツェのシンボルの一つ、ポンテベッキオ上の宝石店も、営業可能となった18日を迎えても営業を再開したのはほんの数店のみ。ポンテベッキオの宝石店は顧客の9割以上が観光客のため、観光客がいないまま営業を再開しても収益に比べてかかるコストが大きすぎるため、営業を見合わせる店舗がほとんどで、シャッターは依然として閉まったままでした。

コロナウイルスと共存生活スタートから3週間が経過したフィレンツェは今

ところで、トスカーナでは5月1日にロックダウンが緩和されコロナウイルスとの共存生活が始まってから3週間が経過しています。

ミケランジェロ広場に隣接するアイリス庭園は5月にアイリスの見頃を迎え、ロックダウン第二段階に入った際に入園を認めるようになりました。毎年訪れている庭園なのですが、いくつかコロナウイルスの影響による変更点が見られました。まず、これまで出入り口は一つでしたが、今年は入り口と出口は分けられており、庭園内のルートも一方通行になっていました。マスク着用と他人と1メートルの間隔を空けることが義務付けられ、人数制限も行われていました。

フィレンツェのアイリス庭園フィレンツェのアイリス庭園

庭園内では、イタリア人ではない白人女性が一人でマスクをせずに歩いているのを見かけました。そんな彼女を見かねてマスク姿のイタリア人カップルが「マスクをつけなさい」と彼女にイタリア語で注意しました。その白人女性はイタリア語ができないようで、わからないといったように首を振ります。イタリア人カップルが自分たちのマスクを指差して「つけなさい」と言うと、今度は理解したようでしたが、彼らにうるさいと言わんばかりのムッとしたしかめっ面をして何も言わずに先へ行ってしまいました。庭園のルールに「マスク着用義務」と書かれているので、白人女性の方に落ち度がある上に傲慢な態度まで取り、見ていて気持ちの良いやりとりではありませんでしたが、この先、再び外国から観光客が訪れるようになった場合には、このような摩擦がイタリア各地で生じようになるかと思うと少し先が思いやられました。

散策を楽しむイタリア人カップル

気を取り直してアイリスの写真撮影をしていたところ、イタリア人男性に「写真を撮ってくれない?」と声をかけられました。そして携帯を差し出されましたが、一瞬返答に窮しました。私としては撮影も構わなかったのですが、もしこの先この男性がどこかでウイルスに感染してしまった場合に「そういえば知らないアジア系の女性に携帯を触られた」とでも思われたら厄介かも、とつい考えてしまい・・。結局、「こんな時期だからあなたの携帯に触れるのはどうかな・・ごめんね」と断り、相手も「確かに。あなたの言う通りだ、こちらこそごめんね」と納得してくれました。こんな些細な依頼にも迷うようになるなんて、コロナウイルスとの共存生活をつくづく煩わしく感じました。

今後も段階的に規制が緩和、6月3日からはイタリア全土の移動が可能に

今後大きな転換を迎えるのは6月3日で、これまで禁止され続けてきた州をまたぐ移動が可能になり、再びイタリア全土で移動できるようになります。シェンゲン協定加盟国からのイタリアへの入国者の14日間の隔離措置も撤廃となる予定です。

お互い間隔を空けて談笑するイタリア人グループお互い間隔を空けて談笑するイタリア人グループ

5月19日時点ではまだ州をまたぐ移動は規制されているため、感染拡大が落ち着いているトスカーナ州内ではどことなく安全な雰囲気がありますが、6月3日以降はイタリアにおける感染者数の大部分を占めているロンバルディア州など北部4州の住民もやってくるようになります。そのためフィレンツェ市民の間では「ロンバルディアやピエモンテの人たちには来てほしくない」と話す人もいます。

イタリアのデパートLa Rinascente(ラ・リナシェンテ)フィレンツェ店も営業再開イタリアのデパートLa Rinascente(ラ・リナシェンテ)フィレンツェ店も営業再開

しかし同時に、観光業がメイン産業のフィレンツェでは観光客に一刻も早く戻ってきてもらいたいという人たちもいます。閑散としたシニョリーア広場の写真を撮影していた時、イタリア人男性に日本語で「写真を撮っているのですか」と声をかけられました。日本語上手ですねとイタリア語で返事をすると、シニョリーア広場を見つめながら「変な光景だよね」とポツリ。「こんなにも人がいない広場なんて、とても奇妙だよ。この美しい街には観光客が必要。いつになったら日本人観光客がまたこの街に来てくれるかな・・」と寂しそうに話していたのが印象的で、なんとも切ない気持ちになりました。
さてこの先、イタリアでは5月25日からはジムやプールなどのスポーツ施設が、6月15日からは劇場やコンサートホール、映画館などの再開も予定されています。すっかりマスク着用&ソーシャルディスタンスが定着し雰囲気はコロナ以前のものとは全く異なるイタリアではありますが、それでも少しづつ以前の日常生活へ戻りつつあります。

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WRITER PROFILE
小林 真子 Mako Kobayashi
小林 真子 Mako Kobayashi

フィレンツェ在住。元静岡朝日テレビ報道記者。2012年よりフィレンツェ在局FMラジオ番組レギュラー出演。イタリアの労働ビザを取得し、イタリア製アイテムのオンラインショップ「AmicaMako(アミーカ・マコ)」を経営。2013年、イタリアのテレビ局SKYのドキュメンタリー番組に出演。「週刊新潮」「宅ふぁいる便」等でイタリア関連の記事やコラムを執筆。 AmicaMako https://www.facebook.com/amicamako/ https://www.blog.amicamako.com/ https://www.instagram.com/amicamako/

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