INTERVIEW
CULTURE 28 Dec 2019

イタリア文化を日本に広める「カルチャースタジオLCI」代表・松山恭子さんインタビュー

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イタリアの魅力を伝え続けて15年

東京の西、吉祥寺で15年に亘ってイタリア文化に触れる機会を作り続けてきた「イタリア語 x カルチャースタジオ LCI 吉祥寺」。
ここはイタリア語やイタリア料理はもちろん、映画、留学、旅行、ワインソムリエ、オリーブオイル、文化セミナー、文化交流会、コンチェルト、カフェ、食材ショップなどなど、イタリアと接するためのコースが豊富に用意されています。
今回はイタリアにどっぷりと浸かってい早数十年になる同スタジオ代表の松山恭子さんにイタリアの魅力を伺ってきました。

「イタリア語 x カルチャースタジオ LCI 吉祥寺」代表の松山恭子さん

イタリア好きになったきっかけは?

SHOP ITALIA 松山さんがイタリアを好きになったきっかけは?
松山 社会人のスタートは航空会社勤務でした。働きはじめて3年目に、ローマ-ミラノ便が初就航することとなり、ローマ支社のイタリア人が来日してきたんです。彼らと親しくなって、「今度イタリアに来たら案内するよ」と言われ、真に受けてイタリアへ行ってみたんです 。
SHOP ITALIA それが初めてのイタリア?
松山 はい。夜のローマの美しさに心を奪われました。
SHOP ITALIA 大人になられてからイタリアに興味をもたれたんですね。
松山 社会人になってからです。さらに当時は、イタリア料理店が増えてきて、ヨーロッパのレストランといえばフレンチばかりだったのが、イタリア料理店がどんどん増えてきた時期でした。そこで食べたり、飲んだりすると楽しくって。ファッションをはじめ、いろいろなイタリアの文化が自分に合うな、と気づいたんです。

好きすぎてイタリアに住むことに

SHOP ITALIA 趣味的にイタリアを楽しむような感じだったのですか?
松山 思い切って仕事を辞めて、イタリアに住んでしまいました。
SHOP ITALIA 旅行ではなく?
松山 長く住みたかったので、留学ビザを取りました。
SHOP ITALIA どこで暮らしはじめたのですか?
松山 最初はシエナとフィレンツェです。
SHOP ITALIA いつ頃、どれくらいの期間で?
松山 30代のときで、最初は1年半くらい住んで一度帰国して、またイタリアに行って半年から1年くらい暮らして。それを2、3回繰り返しました。

SHOP ITALIA そのままずっと暮らしていこうという感じだったんですか?
松山 それが現在の仕事を日本で始めていて。イタリア語の教室を開いたんです。イタリア料理も好きなので、郷土料理、フィレンツェとシエナを中心にしたトスカーナの料理を習得しながら料理講座もやって。そうこうするうちに、サルデーニャの料理にも出会って、それも徐々に学びながら講座を開いてきました。

「イタリア語 x カルチャースタジオ LCI 吉祥寺」の店内バール吉祥寺のスタジオにはバールも併設

SHOP ITALIA 最初は小規模で?
松山 はい。1人で始めて。途中からイタリア人の先生がパートタイムで入ってくださって、それがフルタイムになり、人数も増えていって。最初の先生は7年もいてくれました。その方は私の考えにすごく共感してくださって。最初の先生は7年もいてくれました。その方は私の考えにすごく共感してくださって。
SHOP ITALIA 共感できた部分とは?
松山 やっぱりイタリア人が持っている親切心、優しさですね。それは以前私が留学した時にも触れることができたものです。例えばレッスンの時間内だけではなく、生徒さんがイタリア語を使った何をしたいのか、親身になって考えてくれました。イタリア語を仕事で使いたい、という人は少数で、圧倒的に多いのはイタリアを旅行して、現地の人とコミュニケーションを取りたい、という方なんです。あとは料理を学びたい、音楽をやりたい、さまざまな目的があって、単純に言葉を学ぶだけじゃないんですよね。語学を通して、その先にあるものを手に入れる、その手助けを我々はやりたいのです。

「イタリア語 x カルチャースタジオ LCI 吉祥寺」では食材も販売各地のワイン、パスタなど食材も販売

SHOP ITALIA こちらでは語学講座以外ではどのようなことが学べるのですか?
松山 イタリアワインに関しては、もう4年ほど経つのですが、日本イタリアワインソムリエという一般社団法人を私が引き継いでいまして、それで、ソムリエさん、イタリアワインのインポーターさん、イタリア料理屋さんの三者が一堂に会するイベントを毎月いろいろな場所で行っています。

「イタリア語 x カルチャースタジオ LCI 吉祥寺」には食材も販売本物のバルサミコ、サルデーニャのダッテリーニ缶もここで手に入る

SHOP ITALIA イタリアワインも奥が深いですよね。
松山 そうなんです。色々なインポーターさんとの繋がりがどんどん増えて、いいワインをご紹介したいなということで、こちらでの販売もどんどん増えています。そしてイベントや販売だけではなく、イタリアのワインに特化したソムリエのコースも4年前から始めました。

生徒とのイタリアツアーを開催

SHOP ITALIA 語学、料理、ワインとどんどんコースが増えていったのですね。
松山 留学にも力を入れています。レオナルドダヴィンチというフィレンツェ、ミラノ、ローマ、シエナの四都市にある学校の東京の窓口をやらせていただいてまして、向こうの学校とはもう10年近くのお付き合いになります。現地校に行くと娘のようにしてくださって。家に泊めさせてもらったり。イタリアの仕事が続いていくのはやっぱり人間関係が一番大事だと実感しています。
あとは旅ですね。旅行を毎年一回、これが私の一番やりたいことなのかもしれません。
SHOP ITALIA 生徒さんと一緒に行くのですか?
松山 はい。ガストロノミーの旅です。今年はエミリア・ロマーニャに行ったのですが、毎回その土地の現地の人とできるだけ交流するようなプログラムにするんです。

2017年にピエモンテを訪れた際、農家の収穫を手伝う松山さん2017年にピエモンテを訪れた際、収穫を手伝う松山さん

SHOP ITALIA それは具体的にはどういうことをするんですか? 農業手伝ったりとか?
松山 ブドウやオリーブの収穫のお手伝い、そういうのはもちろんやりますね。
今回やったのは、現地の民族舞踊っていったらいいのでしょうか、土地土地にフォークダンスのようなものがあって、それを向こうで教えてもらってみんなで踊りました。気持ちが一体になるんですよね。
日本の文化もイタリアの方々に知っていただきたい、という思いもあります。浴衣を持って行ってみんなで盆踊りを披露したら、現地の方も一緒に踊ってくれたりとか。それは面白かったですね。
あと現地のイタリア人に好評なのがお好み焼き。濃い目の味がお好きのようで、毎回作っています。

サルディーニャ島を生徒さんと訪れた際、地元のご家庭でランチをいただくサルディーニャ島を生徒さんと訪れた際、地元のご家庭でランチをいただく

SHOP ITALIA 現地の方とはどうやって知り合うのですか?
松山 紹介もありますが、基本は自分の足で訪ねます。
ある時は、ピエモンテの北の方のガッティナーラで、ワイナリーを営んでいる方と知り合いになったんです。その方が地元の小学校の校長を紹介してくださって。その時は学校で交流会ができました。
もちろん、一回会っただけであとはメールのやりとりだけ、というわけにはいかず、何度も足を運んで実現しました。準備には2年くらいかかりました。

2016年、シチリアのエトナの収穫祭へ2016年、シチリアのエトナの収穫祭へ

SHOP ITALIA 年1回行うんですか?
松山 はい。今年で6回を数えました。最初はカンパーニャで。そこがすごくよかったので、参加者の半分以上がリピートしてくれます。
SHOP ITALIA カンパーニャの次は?
松山 その次はマルケでした。マルケもきっかけがあって、私がオリーブオイルの勉強をしていたのがマルケだったんです。マルケ州の観光局みたいなところの方は「トスカーナは有名だけどマルケって全然知られていない」と考えていて。それで日本にもプロモーションした時期があったんですね。そことちょうど重なって、私たちのツアーを手助けしてくださったんです。マルケもすごく好評でした。そのあとにシチリア、ピエモンテ、サルディーニャ、エミリア・ロマーニャと続きました。

サルディーニャでは窯でCohone un fozza(1700年代の葉で包むパン)を作るサルディーニャでは窯でCohone un fozza(1700年代の葉で包むパン)を作る

SHOP ITALIA パックツアーでは見られない現地の魅力が体験できるんですね。
松山 仕込みに本当に時間がかかるので、年に1回しかできないですね。本当は同じ内容でもう一回行きたいくらい。写真や話でもある程度イタリアの魅力は伝わるのですが、やはり体感すると全然違いますね。

マンマの味=郷土愛

SHOP ITALIA そこまではまったイタリアの魅力って何ですか?
松山 簡単にいいますと人柄プラス郷土愛でしょうか。イタリアでは都会に出た若い人が自分の田舎に戻って事業を継いだりすることが増えてきています。
また、我々がツアーで訪れた6都市の皆さんが口をそろえていうのが「ここが一番良いだろう」と。それを謙遜せず、むしろ自慢するくらいに熱く語られるんです。
その根底にあるのはマンマなんでしょうね。マンマの味=郷土愛とでもいいましょうか。そこにそ私たちも魅力を感じるんてしまうんです。例えば日本にも海外から賞賛されている食材がたくさんありますが、そんなにアピールすることはしないですよね、日本人は。

2016年、シチリアで地元の人々と写真に写る松山恭子さん2016年、シチリアで

SHOP ITALIA 最後に今後の夢を。どうイタリアと付き合っていくのかをお聞かせください。
松山 教室自体を大きくしようとは考えていないですね。スタッフもあんまり多いとコミュニケーションが取れなくなるので、情報の共有ができる範囲はこれくらいかなと。
私自身は、きりがないんですけれど、イタリアの田舎をもっと知りたいと考えています。いろいろな所を訪れてはいるのですが、それを生徒さんと共有するような形にまではできていません。時間はかかると思いますが、それを何とか伝えたいと願います。
SHOP ITALIA ガイドブックに載っていないイタリアの魅力を伝えるということですかね。
松山 それを伝える方法はいろんな形がありますよね。留学するにしても向こうで何を体感したいかによって行く場所、やることは異なります。
日本もですけど向こうも人手不足で、手工業とかは後継がいないとよく話に訊きます。そういう紹介もできたら面白いなと考えるときもあります。

SHOP ITALIA 今日はありがとうございました。楽しくって時間を忘れてお話に耳を傾けてしまいました。
松山 こちらこそありがとうございました。
SHOP ITALIA 次回のツアーはぜひ記事にしてご紹介させてください。
松山 はい。それ以外でもイタリアの楽しいことをたくさん用意していますので、読者の皆様もぜひ一度お越しください。

イタリア語 x カルチャースタジオ LCI 吉祥寺

住所 東京都武蔵野市吉祥寺南町2-29-5(半地下)
TEL 0422-24-8897
http://lci-italia.com/
※松山さんが翻訳したイタリアソムリエ財団著、イタリアワインとオリーブオイルのソムリエ入門書「イタリア式ワインのABC」(イカロスMOOK)絶賛発売中

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WRITER PROFILE
荻山尚
荻山尚

SHOP ITALIA編集長。ENGINEやCAR MAGAZINEなどの自動車雑誌編集者を経て、LEON副編集長、SENSE編集長を務めるなどファッションへの造詣も深い1972年生まれ。ピッティ・ウォモやミラノのコレクション、国際試乗会などイタリア取材の経験も豊富。

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