COLUMN
CULTURE 11 Jul 2019

緑の心臓と呼ばれるウンブリア州のスペッロで「インフィオラータ」のフラワーカーペットに心躍る

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夏の訪れを知らせる花の伝統行事

皆さんこんにちは。
6月になるとイタリアも初夏の花々が咲き乱れ、明るい太陽の光を受けて植物がますます輝きを増しますね。
そんな6月のイタリアで、伝統行事とともに夏の花の魅力を満喫できるのが、インフィオラータです。

花びらがしおれてしまわないようフラワーカーペットに水分補給するイタリア人

花びらがしおれてしまわないようフラワーカーペットに水分補給
これは復活祭のあとの第9日曜日である聖体の祝日(Corpus Domini)に、ミサのあとフラワーカーペットを敷き詰めた街中を聖体の行列が行進するというものですが、イタリアの小さな村々でも行われている伝統行事です。事前から村人が総出でこの季節の野の花や野草を集めておき、数日前から前日まで根をつめたフラワーカーペットつくりが街の至る所で行われます。

フラワーカーペットの上を歩く聖体の行進の様子

フラワーカーペットの上を歩く聖体の行進の様子
フラワーカーペットの絵のモチーフは様々で、もちろん宗教的な場面のものから現代的なテーマのものまでさまざま。その色の鮮やかさは本当に心躍る夏の色。今日は、そんなインフィオラータでも、中部イタリアでは花の街として知られるスペッロの素晴らしいインフィオラータをご紹介いたします。

緑の大地ウンブリアに咲く花の街スペッロ

花の街と言われる由来は、街のいたるところにある心温まる花のしつらえ

花の街と言われる由来は、街のいたるところにある心温まる花のしつらえ
イタリアで唯一海に接していない、緑の心臓とも呼ばれるウンブリア州。イタリアに存在した最古の民族と言われているウンブロ族が文化を切り開いた、とても歴史深い州です。スペッロもそんなウンブロ族が築いたと言われる街で、豊かな田園風景の広がるなだらかな丘の上に張り付くようにしてそびえています。一歩街に足を踏み入れると、いくつもの小路から覗くグリーンのパノラマと花々でしつらえられた旧市街地の落ち着きがありつつも華やぎも感じられる佇まいに、訪れる人は思わず笑みを溢すはず。人々の暮らしの呼吸を肌で感じられる、ゆるやかな時間が流れる街なのです。

古い城壁から望む広々としたスペッロの景色は本当に美しい

古い城壁から望む広々とした景色は本当に美しい
この街の一大行事であるインフィオラータに合わせ、街は自治体を挙げてより美しい花のアングルを街中に作ることに尽力しているのですが、それぞれの住民がアイデアを凝らして庭先やテラスを飾りその美しさを競い合い、優秀者を決める、いわゆるガーデンコンテストもあります。興味深いのは大きな庭を飾ることではなく、あくまで市街地の小路にある一角や玄関先などの、生活に密着した小さなスペースを有効利用するところ。

街を散策するとぱっと目の前に現れる可憐この上ない小さな玄関先は、絵葉書のように思わずスケッチしたくなるアングルもいっぱいです!

スペッロの路地の素敵なアングルをスケッチする来訪者

路地の素敵なアングルをスケッチする来訪者

ユニークなマヨリカ焼きタイルの表彰状

ガーデンコンテストで決められた優秀者に進呈される表彰状として、とってもユニークなものが使われるのですが、それは地元の職人が製作したマヨリカ焼きによるタイルなんです。

可愛らしいマヨリカ焼きの表彰状、コレクションにもなる楽しみ

可愛らしいマヨリカ焼きの表彰状、コレクションにもなる楽しみ
カラフルに絵付けされたタイルには、表彰文が書かれていますが、タイルそのものが可愛らしいので、表彰された方々は家の壁面にタイルを貼り付け、外壁の装飾に有効利用するとともに、表彰された庭先であることを宣伝できるという利点があるのです。なんとも良いアイデアですよね。

花の色があふれるインフィオラータ

地元の子供も参加して花を敷き詰め、街が一丸となる

地元の子供も参加、街が一丸となる
さて、聖体の祝日のメインイベントであるインフィオラータのフラワーカーペット制作は、何日も前から花びらを摘む地道な作業から始まります。

大人も子供も総出で近郊の野山から摘んで来た花は、インフィオラータ直前になると作業中に風で花びらが飛んでしまわないようテントが設置され、下絵に合わせて花びらを並べていく根気の要る作業が夜中まで続きます。街のいたるところで住民が路地に集い花びらの仕分け作業をする姿が見られ、このイベントに対する地元人の情熱が伝わってくる、心温まる風景がまた、良いのです。

イベントが近くなると街のあちこちの路地で住民が作業をする様子が見られる

イベントが近くなると街のあちこちの路地で住民が作業をする様子が見られる
インフィオラータ当日は出来上がったばかりの美しいフラワーカーペットを一目見ようと、朝早くからテントが外されるのを待ち望む来訪客でいっぱい。スペッロの1年で一番活気のある1日が大聖堂のミサから始まり……聖体の行列の行進が始まるころには、路地は人と花とで溢れ、なんとも言えない爽やかな熱気と喜びに包まれた、本当に特別な時間を過ごすことが出来ます。

フラワーカーペットの美しさと街の佇まいとのマッチングが何よりもの魅力
キリスト教徒ではない著者も、この信仰と街と花の美が一体になった晴れやかな1日を体験し、大きな感動を覚えたものです。

大切な宗教行事であり、住民の誇りでもあるインフィオラータ

大切な宗教行事であり、住民の誇りでもある
イタリアを旅すればするほど、魅力を感じるのは地方色のある伝統や、人々の暮らしの息使いが感じられる小さな街角だったりします。
そんな温かい街角が、花のカーペットで埋め尽くされる夏の特別な1日を、皆さんも体験してみたいと思いませんか?

スペッロのインフィオラータオフィシャルHP

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WRITER PROFILE
林由紀子
林由紀子

マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。http://www.collinediraffaello.it/

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