CULTURE 27 Mar 2020

【現地ライターレポ】日本で伝わっているイタリアと実際のイタリア

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日本の皆さんに伝わっているイタリアと実際のイタリアについて、Q&A形式でイタリアの現状をお伝えします。あくまでもボローニャに住んでいる私が考える個人的な意見に、考察を少しプラスしたものとご理解ください。

イタリアの医療

Q. イタリアの医療は崩壊していますか?
A. 日本で報道されているほど、イタリアの医療がひどいわけではありません。実際イタリアの医療は、ヨーロッパの中でも大変優れていると高く評価されています。現在死者が多発し、日本で映像を見られた方も多いと思われるベルガモの病院についも、BBCではヨーロッパで有数の病院だとコメントしています。つまり、医療レベルが低いのではなく、クラスター(集団感染)発生によるキャパシティーオーバーの状態です。
参考までに、ボローニャでの感染者数の増加をグラフで作成してみました。

ボローニャでの感染者数の増加グラフイタリア保健省(Ministero della Salute)が毎日17時に発表する県別感染者数の発表(Covid 19 – Ripartizione dei contagiati per provincia)をもとに筆者が作成(数値が取れなかった3/1と3/7は空欄のまま掲載)

当初2名だった感染者が40名を超えるのに1週間。ボローニャのあるエミリア=ロマーニャ州では、感染者が見つかる前に学校閉鎖を開始していましたが、感染が多発している地域(ロンバルディア州)との交流は絶たれていなかったため、感染が始まりました。その後、日に日に感染者数は増加。WHOの発表によると、感染者の8割が軽症だというこの新型コロナウイルスですが、最初の感染者が見つかった段階で、すでに感染が広がっていたかもしれません。
またイタリアの保健省は、毎日18時に新型コロナウイルスの感染状況に関する記者会見を行い、以下のような州別の感染者数データに加え、県別のデータを更新しています。

イタリアの保健省が発表している州別の感染者数データ

Positivi al nCoV:コロナウイルス感染者
Ricoverati con sintomi:症状があり入院
Terapia intensiva:集中治療室
Isolamento domiciliare:自宅隔離
Dimessi/Guariti:退院/完治者
Deceduti:死者
Casi Totali:感染者数累計
Tamponi:検査数
(出所:Ministero della Salute http://www.salute.gov.it/imgs/ C_17_pagineAree_5351_32_file.pdf )

日本でも県別の感染者数がわかるサイトができたと聞いたので早速覗いてみました。

(出所:COVID-19 Japan https://www.stopcovid19.jp )

ここを見て驚いたのは、日本の感染症病床数の少なさです。日本の病床数は多いのだろうと予測していましたが、実際に見てみるともう既に満床の県もあり、結核病床を利用して対応していることが見て取れます。「日本の公衆衛生レベルの高さ」や「人混みでくしゃみをできるだけしないようにとの配慮」などで感染が抑えられているかもしれませんが、クラスター(集団感染)が複数発生すれば、日本の医療もあっという間にイタリア同様にキャパシティーオーバーとなることが考えられます。

Q. ドイツで死者が少ないのはホームドクター制度があるためでしょうか?
A. イタリアにもホームドクター制度はあります。

Q. イタリアの医療レベルは低いのでしょうか?
A. 日本のメディアで、イタリアの医療で大変な思いをしたという報道があったと聞きました。確かに私も 10年以上前に長男を出産した際には、驚くような対応でしたが、現在通院している病院は非常に的確な対応をしてくれるので、決してレベルが低いとは思いません。我が街ボローニャにあるサントルソラ病院や、リッツォーリ病院は世界的にも有数の病院です。

Q. ドイツは消費税が高いから医療制度が機能しているのでしょうか?
A. ドイツの消費税は19%でイタリアの消費税は22%。イタリアではホームドクターの受診は無料です。癌治療など特定の疾患や、出産に関しても費用は全て無料。日本の国民皆保険と並ぶほど支援は手厚いと思います。ただ、南イタリアでは医療設備が北ほど充実していないという話はよく聞きます。

イタリアでの物資状況

Q. イタリアのスーパーの棚からものが消えたって本当ですか?
A. エミリア=ロマーニャ州知事が学校閉鎖を決定した翌日には、スーパーからパスタ類が消えたという投稿がSNS上で多々見受けられましたが、現在は食料品に不足しているものはありません。

Q. マスクや消毒液は手に入りますか?
A. 現在、マスクや消毒液はほとんど手に入りません。そのため、3月21日、政府はイタリアの企業に対し、マスクや医療現場で必要となる保護服の生産への協力を企業に呼びかけました。24日の報道では、マスク需要の半分を国内生産予定で、不足分に関して中国へ専用機でマスクを受け取りに行くという話もされていました。

アジア人に対する差別

Q. 新型コロナウイルス騒ぎで、アジア人だからということで差別を受けましたか?
A. 個人的に私は一度もそのような対応を受けたことはありません。また、日本人の友達も不快な思いはしていないようです。
まだウイルス感染者がボローニャにおらず、感染拡大が中国の問題だった頃、中国人経営の美容院に行きましたが、「今、コロナウイルスがニュースになっているけど、中国人ということで何か影響が出てる?」と質問したところ、「新規のお客様はないけど、私のことを知ってくれているお客様はいつも通りに来てくれている」とのこと。ボローニャは他都市に比べると、色々な文化を受け入れる風土があるので、それのおかげかもしれません。

日本の皆さんに伝えたいこと

新型コロナウイルスについて、
「子供からは感染しない?」
「若者はかからない」
「インフルエンザ程度のもので大したことない」
こんな言葉が頭を占めている人も多いのではないでしょうか?最近では花見を楽しんだり、マスクを着用せずに外を歩いている人を見かけることもあるようです。
しかし、新型コロナウイルスは普通のインフルエンザ程度のものではありません。
不必要に怖がらせるのは良くないことは重々承知していますが、自分の大事な家族の命がかかっていると思ったら、なんでも我慢できると思います。
今後、日本がイタリアと同じ道を辿らないようにとの強い願いを込めて、イタリアよりお伝えします。

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WRITER PROFILE
須飼真理
須飼真理

ボローニャ在住。通訳・翻訳家。エミリア=ロマーニャ州初の日本人認定旅行添乗員。食いしん坊&楽天家&晴れ女。日米の大学を卒業後、大手外資系企業にて経営コンサルタントとして勤務。2006年渡伊。ハイファッションの翻訳を中心に、レッジョ・アプローチなど幼児教育現場の視察コーディネートや各種展示会通訳、鰻祭りなど食関係のイベントオーガナイズや執筆まで、いただける機会に感謝しながら日伊の架け橋となるべく活動中。特技は様々なことに興味を持てること。男の子2人のマンマ。http://felicitalia.net

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