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CULTURE 20 Feb 2019

緑のトンネルを抜けて。ため息が出るほど美しいイタリア・アブルッツォの結婚式

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イタリア・アブルッツォ州をテーマに伝統と家族の愛を結い上げる

人生の一大イベントのひとつである結婚式。
日本でも近年は自分たちらしく、場所や演出に趣向を凝らした結婚式が増えてきたように思います。

これまでにも何度かイタリアでの結婚式に参列してきましたが、皆それぞれに思入れのある式場を選び、何よりも美味しい料理でゲストをもてなし、思い出に残る時間を共有してきました。

今回は1年以上前から「この日に式をするから」とスケジュールを押さえられていた友人ミケーラの結婚式です。
ミケーラはフィレンツェの専門学校でアートやデザインを学び、生まれ故郷であるイタリア中部の州アブルッツォに戻り、グラフィックデザイナーとして活躍しています。
ワインやオリーブオイルなどのパッケージデザインを手がける中で生産者とのつながりが増え、地元アブルッツォならではの食やその背景にある文化や風習に興味を持つようになりました。
また、持ち前のセンスの良さから、近年は結婚式の招待状や当日の席次表、引き出物等のデザインに関わる機会も増えています。
一方、新郎となるヴァレリオ一家は南イタリアのバジリカータ州にルーツを持ち、彼自身は生まれも育ちもアブルッツォですが、親戚の多くは今もバジリカータに暮らします。

そんな中、彼女が自分たちの結婚式のテーマに選んだのは「アブルッツォ」。
結婚式に向けアブルッツォについて1年以上かけて勉強し直し、細部の演出までこだわり尽くした、アブルッツォの魅力にあふれる結婚式を成功させました。
アブルッツォには馴染みがない、という方に少しでもアブルッツォを知っていただくきっかけになればと、その一部をご紹介します。

この日のために仕立てたドレスと、受け継がれるジュエリー

ウェディングドレスを手がけたのは、ミケーラの専門学校時代からの親友夫婦であるラウラとルイージ。
ファストファッションに対し、スローファッションをコンセプトにしたオリジナルブランドショップDahlia Duetをペスカーラに構え、ラウラがデザインした服をルイージが仕立てています。

ミケーラのために完成したドレスは、アブルッツォの伝統衣装にもよく用いられている深めのスクエアネックで、レース細工やボタン細工が施されています。

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こちらは結婚式当日の1枚。
ミケーラが抱えるブーケは、アブルッツォを代表するリキュール”Genziana(ジェンツィアーナ)”の花をはじめ、アブルッツォに自生する草花を集めました。
また、フラワーガールの女の子が花カゴ代わりに持っているのは、アブルッツォの特産品サフランづくりに使う”Staccio(スタッチョ)”と呼ばれる道具です。

新婦が手にするのは、中央に2つのハートが施された”Presentosa(プレゼントーサ)”と呼ばれるジュエリー。
これは、伝統的に姑から花嫁へ、新しい家族としての歓迎の意味を込めて贈られるものです。

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新郎新婦が生まれ育った町の小さな教会での式の後、訪れたゲストたちのためにちょっとしたサプライズが用意されていました。

テラモ県を中心に結婚式で披露される伝統的な音楽と踊り”Laccio d’amore(ラッチョ・ダモーレ)”です。
中央の支柱に据えられたカラフルな紐を踊り手がそれぞれに手に持ちながら、軽快な音楽に合わせてクルクルと支柱を中心に踊り始め、入れ替わり立ち替わりしながら、紐を結っていくのです。ひとりでも間違えるとしっかりと紐が結えないとのこと。

新しい家族がしっかりと絆で結ばれ、幸せを紡いでいけるようにとの願いが込められています。

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途中からは新郎新婦も参加。
これにはバジリカータ州から集まった新郎の親戚たちをはじめ、ゲストも皆大喜びです。

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まるで映画のワンシーン。ため息が出るほど美しい場所へ

挙式の後は、舞台を移して披露宴へ。
日本では挙式と披露宴を同じ場所で行うことが多いですが、挙式の会場以上に新郎新婦たちがこだわるのが披露宴の会場選び。
雰囲気だけでなく、舌の肥えたゲストたちを満足させられる料理が食べられる場所を何ヶ月も前から探します。
そのため、挙式場から離れた場所への移動も珍しくありません。

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今回会場となったのは、挙式が行われた教会から車で40分程離れた小さなアグリツーリズモ。
そこは、オリーブ畑やワイン畑を縫っていくと、いよいよ後戻りできないような細い砂利道になり、「こんなところに?」と不安になりかけた時にたどり着くような場所。
夕方の7時を過ぎてもまだまだ熱い日差しの中、Laccio d’amoreにも登場したカラフルな紐がひらひらと風になびきます。
緑のトンネルを抜けたところが会場です。

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最初に迎えてくれたのは、新婦がこの日のために1枚ずつ描いたというアブルッツォの伝統的なお祭りのイラストの数々。
中央上部に飾られているのも伝統工芸の陶器、カステッリ地方の花柄の絵皿です。

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これが実は席次表。
ゲストは「このお祭り行った事ある〜」「へーこんなお祭りがあるんだ」と話しながら、自分たちの席を探します。
アブルッツォには個性的でユニークなお祭りがたくさんあるので、このアイデアは最高です。
お祭りの楽しい気分も盛り上げてくれます。

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気取り過ぎない、優しい光と可憐な花が迎えてくれる室内の会場。

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格子に切り取られた窓からは柔らかな日が差し込みます。

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各席の前には26種類のアブルッツォのドライハーブが入った小瓶が置かれています。
ちょっとした可愛いプレゼントは今日の日の思い出に持ち帰ってOK。

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ガーデンではウェルカムドリンクと共にブッフェスタイルの前菜が並びます。もちろんどれもアブルッツォの食材で作られたものばかり。
バックには美しいワイン畑とオリーブ畑のパノラマが広がり思わずため息と歓声が漏れます。

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アブルッツォ料理といえば羊のチーズをはじめ、サラミやハム、チーズも外せません。
その場で切りたてを提供してくれるのも嬉しいサービスです。

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メインの会場となるのはガーデン。
まるで映画のワンシーンの中にいるみたいです。

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新郎新婦と結婚式の立会人の席がこちら。
テーブルの花は新婦のブーケで用いたのと同じ花々です。

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ゲスト席は先程の室内とガーデンに分かれており、こちらガーデン側のゲストテーブル。
バンドのステージやダンススペースからも近いこのテーブルには若者たちが集められました。(一応私も若者スペースに)

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日が暮れても続く夢の1日

食べて飲んで・・・
お腹も満たされお酒が回り始めた皆のお楽しみはダンスタイム。
バンドの生演奏や、民族楽器の演奏に合わせ、
新郎新婦を中心に老若男女問わず、皆踊るのが大好きです。
特に細かいプログラムが決まっているわけではなく、夜中の1時を回り出した頃から、子供連れやお年寄りがそれぞれのタイミングで帰りはじめます。
若者たちはまだまだここからがお楽しみ。
大勢のゲストを迎える中、一人ひとりのゲストに声をかけ感謝を述べ、細やかな気遣いを忘れない新郎新婦。
彼らのもてなしに、アブルッツォ人を形容する言葉「Forte e gentile(強さと優しさ)」を強く感じ、
誰もが彼らを祝福し幸せな気持ちで会場を後にしたことでしょう。
どうかいつまでもお幸せに!!!

そして、引き出物はこちら。

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ひとつひとつ手描きの絵が入ったカステッリ地方の陶器の小瓶に入っているのは、リキュールのGenzianaです。
この日の余韻に浸りながらグラスを傾けるお楽しみを残してくれているのも、なかなか粋な計らいです。

写真提供:ZONZO
衣装デザイン・制作:Dahlia Duet
グラフィックデザイン:Michela Tiberii
WRITER PROFILE
保坂優子
保坂優子

アブルッツォ州での留学経験を経て、2002年から大阪とアブルッツォを行き来する生活を続けている。 2009年のラクイラ地震を機に州の紹介サイトAbruzzo più(http://abruzzo.jp/)を立ち上げる。2016年4月からフリーペーパー「アブルッツォ通信」共同発行者。都市計画コンサルタントとして地方都市のリブランディングに携わりながら、アブルッツォに関する講演やコラムの寄稿、現地コーディネートなどを行う。 インスタグラム:@abruzzo_piu FB:@abruzzopiu

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