ART & DESIGN 19 Mar 2020

ミラノの街並みを変える新たな建築

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移り変わるイタリア・ミラノの街並み

ミラノと聞いて、どのような風景を思い浮かべますか?トラム(路面電車)が通り、伝統的な建物が並ぶ。そんなミラノの風景を雑誌やテレビでご覧になった方も多いと思います。最近は自転車やスクーターで移動する人も多くなってきました。

トラムが走るミラノの街並み

街をスクーターで走る姿

そんなミラノもエクスポのあった2015年くらいから変貌を遂げています。
今回ご紹介するのは、その中でも特に変貌を遂げた2つのエリア、シティライフ ミラノとイーゾラです。今までなかったモダンかつデザイン性の高い建築物が見られます。

二人の建築家が創り出す新たなミラノの風景

一つ目はシティライフ ミラノ
オフィスタワー・複合施設・集合住宅・公園等の施設が、ミラノの住民達に新しいライフ・スタイルを提供しています。その中の高級住宅がイラク生まれの女性建築家、ザハ・ハディッドの手がけたこちら。

建築家ザハ・ハディットが手掛けたシティライフミラノ

カーブ状のバルコニーが建物全体を覆っており、ため息をつくほどの美しさ。
有名ラッパーのフェデズと奥様で人気ブロガーのキアラ・フェラーニも住んでいる事でも有名です。

建築家ザハ・ハディットが手掛けたシティライフミラノ

そしてもう一つのエリアがイーゾラ

遠くから見たボスコ・ヴェルテイカーレ

イタリア最大の銀行であるユニクレジットのビルで有名なこのエリアは、再開発中の高層ビルの合間には昔ながらの低い建物も。住宅地でありながら、トレンディなレストランやバーが立ち並びます。
ガラスに反射する陽ざしがまぶしく、ビルの谷間の広場は、噴水もあってとてもモダン。変わりゆくミラノを感じられる場所のひとつです。

その中でビルの全てのテラスから木がのぞく、驚きのビルがあります。
その名も「垂直の森 ボスコ・ヴェルテイカーレ」です。

ボスコ・ヴェルテイカーレの写真

手掛けたのは建築家のミラネーゼのステファノ・ボエリ氏。植物と都市建築の新たな関係についての1つの実験ということで建てられました。
“大都市で、環境を破壊せずに人と自然が共存できるか”というテーマに対するボエリ氏の回答は、「マンションを丸ごと森にしてしまおう」というデザインということでした。ボエリ氏は、このようなプロジェクトを世界各国で行っており、ミラノだけでなく、スイス、フランス、オランダ、カイロ、また中国の柳州市、南京市、貴州市などでリゾートホテルや住宅用ビルを建設しています。

2015年のエクスポ前、2014年にオープンしたこの2棟のタワーは110メートルと80メートル。総面積8,900平方メートルのテラスに、800本以上が植樹されています。無機質になりがちな高層マンションに、緑あふれる森をもたらし、同時にミラノの街から排出される二酸化炭素などを吸収する役割も担っています。
不規則に並べられたバルコニーからは緑があふれ、側面をつたって広がっています。ボエリ氏の推定では、入居者ひとりにつき樹木2本、低木8本、植物40本がある計算です。
夏には暑い太陽光線をさえぎり、冬は反対に太陽の光を室内に十分取り込むことができるそうです。こういったことから、このテラスの存在がマンション全体のエネルギー消費抑制につながっています。これらの植物は、空気中のCO2を年に30トン吸収し、19トンの酸素を生み出しているばかりでなく、大都市の交通機関が輩出するさまざまな微粒子まで吸収してくれます。つまり、ミラノ市全体の空気浄化にも大きく貢献することを期待されているのです。

ボスコ・ヴェルテイカーレのベランダ写真

さて、気になるのが、この植物のメンテナンス。ビル管理会社が「フライングガーデナー」と呼ばれる外からのガーデナーに協力してもらい、木の状態などを定期的にチェックしているようです。
細かくいえばテラスの縁までが分譲範囲で、その外側の土の部分は管理会社の管轄となっているため、各戸の購入者が勝手に土いじりをすることはNG。住居者が花好きでも、ここに自分の好きな草花を植えることはできないということになります。全ての植物は、遠隔操作でデジタル制御された設備によって監視されています。そして、屋上にある太陽光発電施設で稼働する水分補給装置により、自動的に水やりが行われる、という訳です。

ボスコ・ヴェルテイカーレの写真

オープン時はまだ木が若かったようですが、オープン5年目の今はだいぶ大きくなりました。そして今では、フロアをまたいで「数百羽、15種類以上の鳥」が住んでいるといいます。
ちなみにボエリ氏のインスピレーションは子供の頃に読んだ小説「木のぼり男爵」だとか。少年が樹上の世界に入っていき、二度と下りないと誓うという話です。

このボスコ・ヴェルテイカーレ、実際に住んでみたいな、泊まってみたいな、という方に朗報です。一番大きなペントハウスでは2億円以上というこの高級住宅地ですが、いくつかの部屋はAirbnbにも出ています。今度ミラノにお越しの際は、ホテルでなく、こんなユニークな場所に泊まってみるのはいかがでしょうか?

シティライフミラノ

垂直の森 ボスコ・ヴェルテイカーレ

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WRITER PROFILE
祝子
祝子

ニューヨークの大学を卒業し、フランス/ シンガポールのMBA後、3大陸、10都市でのファッション、酒、コスメなどの企業でキャリアを積む。現在はイタリアに落ち着き、ミラネーゼライフを満喫。季節によって移住するイタリア人のように、夏はシチリア、冬はウンブリアに。パルマ近くのフィデンツァヴィレッジの他、コンサルティング、コーチング業も。趣味はメルカート巡り、料理、食べ歩き、旅行など。ローマ人の夫、3人の子供とミラノに暮らす。 https://profile.ameba.jp/ameba/33880970/

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