FEATURE
ART & DESIGN 27 Feb 2019

イタリア最大級!ボローニャアートフェアで現代アートに触れる

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「芸術の国イタリア」 イタリアを語る時に必ず聞こえるこのフレーズ。
皆さんはイタリアの芸術と聞いて何を思い浮かべますか?
ルネサンス、ゴシック、ローマン…それぞれの歴史の中で築かれてきた独特の精神性と美意識。
では現代のイタリアにはどんな美術があるのでしょう?

イタリアの現代アート

アルテポーヴェラでもコンセプチュアルな作品を手掛けたアリギエロ・ボエッテイの作品。

イタリアでも戦後に多くの新しい芸術活動の試みがされてきましたが、その中でも顕著だったのが”アルテ・ポーヴェラ”。
直訳すると”貧しい芸術”という意味ですが、ここでの貧しさとはそれまでの時代の芸術表現にあった究極の技術や高級で高価な画材、いわゆる贅を尽くしたものによる芸術ではなく、生活に密着した素材や技法を使い、自然素材も加工しすぎない状態のものを好んで使う、”贅”とは対局的な意味での貧しさ、ひいては質素さを敢えてテーマにし、コンセプチュアル・アートも内包していた、60年代後半から始まったムーブメントです。

現代アートを一堂に鑑賞できるボローニャのアートフェア

1974年には、それまでギャラリーや美術館で観るものだったアートが一箇所で観られるイタリア初のアートフェアが誕生。
建築家丹下健三により設計された博覧会のための建造物は当時とてもセンセーショナルでした。
アートフェアが誕生したことにより、コレクターやアート愛好家は1つの施設内で全国津々浦々のギャラリーが売り込むアーチストの作品を楽しめるようになったのです。

入口にはお馴染みの赤と白のロゴ

さて、毎年1月末から2月上旬に開かれるボローニャのアートフェア。
私は数カ所のギャラリーで展示される仕事に関わっているので必ず1度は行くのですが、今年のアートフェアの様子をレポートして来ました!

会場に入ると赤で統一されたアートフェア、”ARTEFIERA”の名がラウンジやカウンターがあちこちに。

訪れる人々は、コレクター、美術愛好家、美学生、ギャラリスト、美術評論家、そしてもちろんアーテイスト達。

これほど濃ゆく個性のある人達を見られるのはやっぱりこのアートフェアの醍醐味。作品達もさることながら、この人間観察が実はとても楽しいのです。

巨大なスペースにいくつものギャラリーが集合!

さて、パビリオンに入るとその巨大さには驚かされます。

今年はのべ146のギャラリーが参加したこのアートフェア。モダンアートとコンテンポラリーアートに分かれた会場にはとにかく沢山の作品が。

各ギャラリーは限られたスペースでより良く作品を展示しようと試行錯誤し、それぞれの個性を全面に出そうと工夫を凝らします。

一般の展覧会に比べてアートフェアは各ギャラリーのスペースが限られているという点が残念ですが、一箇所でこれだけ多くのコンテンポラリーアートが見られるのはイタリアではやっぱりボローニャのアートフェア。そのほかヨーロッパではスイスのバーゼルアートフェアなど大型のアートフェアもいくつかあります。

では様々な作品を写真で楽しみましょう!

斬新さを前面に出した彫刻作品。
壁に設置するタイプのインスタレーション風、スペースは取りそうですがオリジナル感は満載です。

樹脂のキューブにバイオリンを閉じ込めた作品。

アルマンを思わせるちょっとノスタルジックな雰囲気が。

こちらはとても注目を集めていた作品。

発砲スチロールのような質感に見せて、実は大理石なのです。

ものすごい忍耐力が必要な作品だな~と感服。

人気のあるギャラリーには人もたくさん。

若い美学生たちが参考になる作品を見つけては写真を撮っています。

こちらは私も制作協力した彫刻作品。全てセラミックで出来ているんですよ!
子どもが思わず触りたくなる巧妙さです。

素材の質感を活かした動きのある作品。好きでした。

写真作品も力が入っており、どれも興味深くレベルが高いものばかり。

アルテ・ポーヴェラの巨匠ミンモ・パラディーノの作品と出会えたり、

モダンアートコーナーに、モディリアー二がさらっと展示してあったり。さすがイタリアです。

ところでコンテンポラリーアートの作品の話題になるとき、良く耳にするのは”意味が分からない”とか”自分でも出来そう”といった言葉。コンセプチュアルアートなんかだと、特にそう思いますよね。

私の個人的な見解では、作り手でも買い手でもアートはアートを必要とする人のために存在しているので、理解してもらうことが最終目的ではない、という事。作る人と見る人の化学反応的に、第6感にビビっと来たり、これは、と思うことが大切なのだと思います。

もちろんテーマはあっても、作り手が伝えたいことを言葉で説明してしまうとふっと魔法が消えてしまいます。

そのあたりは美術評論家の方やギャラリストにおまかせして、作品の波長に身を任せる..そんな風に見れば、アートはもっと楽しくなるのでは、とこっそり思っています。

時空を超えて常に新しくあり続ける芸術

イタリアに渡って今年で20年になる私ですが、縁あってずっと現代美術の制作の仕事に携わってきました。
現代アートの定義は大まかに言うと20世紀後半から21世紀にかけて生まれた芸術であると言われています。
皆さんもご承知のとおり第二次世界大戦終戦を境に新しい社会的ムーブメントが生まれ、そこから派生していったアートが現代アートと呼ばれているもの、と私は捉えています。
いわゆる思想の変化、時代の変化、社会構造の変化によって生じる新しい表現の必要性ということなのでしょう。
たとえどんなに時代を遡っても、新しい表現というものは当時の人間にとっては斬新で新鮮、時として意味不明でしょうから、きっとルネッサンスなど時代の変化の境目に生きた人は当時の新しい表現が彼らにとっての現代アートだったのだろうな、と考えるのですが皆さんはどう思いますか?

さて、ボローニャアートフェアのショートトリップはこれで終わりです。
なんとなく絵を描きたくなったそこのあなたは、きっとアーテイストの素質がありますよ!

WRITER PROFILE
林由紀子
林由紀子

マルケ州、ウルビーノ近郊のカーイ(Cagli)在住。1999年渡伊、ファエンツァの国立美術陶芸学校の陶彫刻科を卒業後、現代美術アーティストBertozzi&Casoniのもとでアシスタントとして12年に渡ってコラボする。2003年にマルケ在住のイタリア人と結婚したのをきっかけに、マルケ州の郷土料理や工芸、美術文化に強く惹かれ、自らも陶芸家として活動する中、ウルビーノを中心とするマルケ北部や県境近郊の食文化、美術工芸文化を発信する(ラファエロの丘から)を立ち上げ、現地アテンドや料理教室、工芸体験などのオーガナイスや、ウルビーノを紹介する記事などを執筆。http://www.collinediraffaello.it/

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